海外へ流出しやすい仕事は何か?そして、マーケティングの仕事はどうなるのか?
グローバル化は国境を越えてますます進んでいます。
トーマス・フリードマンが「フラット化する世界」で語ったように、海外に流出する仕事がある一方で、流出しない仕事もあります。
では、どんな仕事が流出し、どんな仕事が流出しないのでしょうか?
2/10の日本経済新聞の記事「雇用創出 米国の苦闘 有望な職 見極め"投資"」で、業種ごとの「海外への流出しやすさ」を掲載しています。米ブリンストン大・ブラインダー教授の論文から抜粋です。
---(以下、引用)---
■もっとも流出しやすい
データ入力、電話マーケティング、簿記・会計・監査の事務、金融アナリスト■流出しやすい
ソフトウェア開発、組立工、機械工、弁護士■流出しにくい
俳優、在庫管理事務、配送事務■ほとんど流出しない
経営管理、医師、看護師、タクシー運転手---(以上、引用)---
グローバル化が進み、インド等に仕事が急速に流出している米国の実態は参考になりますし、色々と考えさせられます。
フリードマンの「フラット化する世界」でも、面白い場面が描かれています。
米国にあるマクドナルドの店で、ドライブスルーでの注文を地球の裏側にいるインドのオペレーターがネット経由で受け、その注文データが地球をさらに半分回って店の調理場に入り、数分後に顧客にハンバーガーとコークが渡される、というものです。
このような仕事も流出する可能性があるのですね。
会計や監査が流出しやすいことを、意外に思われる方が多いのではないでしょうか?
会計業務は数字データを扱う業務なので、ネットとの親和性も高く、会計制度や使用言語が同じであれば実は流出しやすいようです。
金融アナリストもデータを扱うという観点では同様ですね。
一方で、配送業務や在庫管理業務が流出しにくいのは、意外ですね。
実際にその場にあるモノを扱う訳で、これは確かにその場にいないとできません。
当記事では、以下のようなことも書かれています。
---(以下、引用)---
人と人が対面する仕事は流出しにくい。「子供のころからコミュニケーション能力や創造的な思考力を鍛えるように、初等・中等教育の改革が必要」と訴える。
---(以上、引用)---
また、「どの職業が有望かを見極めてから教育を受けることが重要」と米国労働省の労働統計局は指摘しているとのことです。
ところで、マーケティング業務は、どれに入るのでしょうか?
マーケティング業務と一言で言っても、様々な分野があります。
上記の例では、テレマーケティング等はまさに「電話マーケティング」で、場所を問わずに業務が行なわれています。
マーケティング調査は「金融アナリスト」に近いかもしれません。但し数字データ分析は確かに流出しやすいのですが、例えば顧客意識の分析のような暗黙知面の分析は、流出しにくいように思います。
一方でマーケティング戦略は「経営管理」に近い面もあります。
今後、マーケティングに携わるプロフェッショナルは、「本当に顧客や市場を理解できているかどうか」ということが、ますます問われる時代になってきているように思います。