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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

やはり我が国の社会は未成熟なのか?

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国会における集団的自衛権を前提とした安保法制の審議が始まった。当初から、参考人の「違憲」という発言もあり、また答弁者の不用意な発言もあって物議を醸しだしている。

この一連の動きの中で、政府側が警察予備隊などに関しても以前に違憲の意見があったことを例に出して、それが今は認められているから、要は違憲という考え方が絶対的なものではない、という根拠として発言しているが、これこそ言語道断と言わざるを得ない。

集団的自衛権よりも、より国家固有の自衛権と言えるものについてすら、違憲の主張があったわけで、それくらい憲法の定める主権者たる国民の意思は明確なのであり、それを憲法の規定に基づいた改正手続きを経ずして、修正することが憲法違反であり問題なのは明確だと考える。

中国をはじめとした諸国の海洋レベルでの進出やこれに伴う様々な紛争の予感を、この集団的自衛権のきっかけとして主張し、さらにこれを報道などを通じて喧伝することで一部の国民に納得感が出てきているのは事実だが、だとしても主権者たる、そして憲法制定権限者である国民の意思を国会を通じて付託されているだけの政府が、勝手に変更する権限などどこにもない

このような事態を見るにつけ、我が国の国民の主権意識の薄さ、もっと言えばお上意識というか被支配者意識の強さに、改めて驚く。そして常に政府や政治家、行政、大企業を批判し、自分たちは被害者という風体を整えて、自らは事態をきちんと理解しようともしないし、ましてや行動も起こさない。

香港の提督選挙への北京政府の介入に対して、我が国より一人当たり国民所得の大きな香港の学生があれだけ必死になって自分たちの権利を守ろうとしたのと比べると、残念ながら我が国の国民の意識の低さ、社会の未成熟は明白なような気がする。

安全で、美しくて、皆が優しくて、教育水準が高くて、というこれまでの我が国の良さが徐々に劣化していく中、我々自らがこの国を、そして自分たちを守ろうとしなければ、子供たちの未来はない。

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