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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

資本主義の仕組みはこのままで良いのか?

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アベノミクス効果で、株価が連騰し、一般市民の間に株への投資意欲が広まって、株式投資講座などが大盛況だと言う。

個人が、自らの将来のために、一つの選択肢として株に投資することを否定するつもりはないが、株価が上がっているから投資して見ようと思う、という安易な態度はちょっと危険ではないか

会社の事業を進めていく上で必要な投資を、資本で調達することは必然なのは分かるし、これを多くの投資家から集めるために、株式があって、保有者が自らの資金状況を踏まえて売り買いできる必要も理解する。

しかし、現実に株価の動向を決めているのは、それこそ企業買収などの経営者の重要な意思決定だったり、大口の株主の売り買いだったり、今回のように首相が変わっただけではあるが政治動向だったり、更にはリーマンショックのような国際状勢だったりする、つまり個人がコントロールできるものではない

もっと言えば、今回の株高も、日本経済の実態は何も変わっていないので、単なる気分だし、動向に影響を与えているのは、円安でドルベースでの投資価値が目減りすると困る外人投資家だ。

ところで、大阪の橋下氏が従軍慰安婦発言で物議をかもしだしている。政治家にとって言葉は極めて重要であり、女性蔑視につながるような発言は言語道断だと思う。報道が正確ではないなどと言い出しているようだが、テレビを見る限り彼の発言をそのまま報道しており、内外で不快感を持たれる発言をしたことは間違いない事実だ。テレビの寵児として政界に出てきたが、さすがにその器ではなかったということが露呈したと言わざるを得ない。

閑話休題。株に戻るが、株価の動向は今一実体経済を反映していないと思われるものの、そうは言っても、この気分は当分続きそうなので、株に投資すること自体間違いではないような気がするが、ただそもそもこんな形で株価の動きが発生する株式市場って、本当にこのままで良いのか?

先に書いたように、株が企業の基本的な投資を賄うものだとすれば、そもそもは長期的視点で行われるべきものだ。ところが、株式市場では上場株はいつでも売り買いできるし、一方で経営者の目標は企業価値、つまり結果としての株価の上昇だから、株価が短期的売り買いで動けば、どうしても経営は短期的視野で進めざるを得なくなる。これが本当に経済の持続的成長につながるのか?

そう考えると、株式に投資をする個人の換金の需要を否定することは出来ないにしても、出来るだけ長期的に株を保有するようなインセンティブを高める必要があるし、そのような投資家の考えを経営に反映していくべきではないか、という議論が出てくる。要は、株式の保有期間によって、総会での決議とか配当などの株主としてのメリットに差をつけることが出来ないか、ということだ。

もちろん種類株は認められているが、一方で株主平等の原則もあり、このあたりをどう調整するかは私も分からないが、これまで当たり前と思ってきた今ある資本主義についても、今一度考え直してみるべきではないかと考えた次第だ。

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