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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

今、日本はバブルです!

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またまた時間がないので、相変わらずのオジサンの後ろ向きの話題を!

どうも、わが国の産業界は、日本には世界一の技術があって、素晴らしい製品を作っているのに、株価も上がらず、あまり評価されていないのは不当だ、という意識があるように感じる。例えば、昨今のマスコミも、一時わが国の基幹産業だった電機業界の不調を、「何故だ?」と報じている

政府も、世界に冠たるわが国の技術である原発や地デジ、通信などの大型プロジェクトを海外へ輸出すれば、世界に貢献できると考えているかのようだ。加えて、日本のバブルの経験や、これから発生する急速な高齢化による介護の経験も、産業の発展に生きるということらしい。

だが、先般ある友人から、イスラム系の事業化と会った際、日本の技術の活用の話になって、日本の通信技術について、「3Gで独自の路線を行って失敗したガラパゴス型の日本の通信技術など、何の意味もない」と一笑に付されたという話を聞いた。

原発にしても、現実にわが国の技術ではコントロールできず、未だに何が起きたか解明も出来ていないものを、平気で海外に輸出するというのが本当に評価されるのか?自国の国民すら守れず、今度は自国での稼働を止めて海外に危険をまき散らす、それこそ自分たちだけが儲かれば良いというエコノミックアニマルではないのか

確かに得意とする精密化、高品質の分野で、まだ競争がさほどない、しかも独り勝ちが認められた東西冷戦という環境の中で、わが国の産業はその真価を発揮してきた。だが、時代は大きく変わり、一定の品質での製造工程においては、中国などを始めこれまでと全く異なる競争環境が現出している。

その中で、日本の産業が何で世界の社会に貢献するのか、何で勝負するのか、きちんと考えている経営者・企業がどれだけいるのか?相変わらず、1億を超える大きな市場の中で、とりあえず生き抜くことしか考えていないのではないか?だから、過剰品質ではない、適度な品質でしかも海外の消費者に喜ばれる商品が作れないのではないか?

それにも関わらず、円高によってわが国の経済力は一定レベルで保たれている。しかし、これはたまたま欧米経済が金融分野のトラブルで機能しない中で、リーマンショックの影響を受けなかったわが国が、当面の安定度に着目されて、結果として円が評価されているだけだ。

現実には、世界最大の負債を抱え、これが更に年間40兆円を超える勢いで増加するわが国経済が10年、20年で回復することはあまり想像できず、早晩円安に向かうだろうし、従って東証株価ももっと下がるはずだ。つまりまだまだ世界金融危機で、日本経済が相対的に安定しているゆえの円高バブルのおかげで、日本産業は救われているのだ。

だからこそ、世界の社会に貢献するという気持ちを持って、これまでの成功に胡坐を欠くことなく、虚心坦懐に自らの強み・弱みを見出し、自分の製品やサービスに固執するのではなく、どうすれば世界の人のお役にたてるかということを真剣に考えるべきだ。そこからしか日本の産業の再生は生まれない。

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