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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

東電対策はちゃんと手順を踏んで!

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どうも相変わらずドタバタしているので、今回も簡単に!

東電の補償問題で、国の管理下に置くという話が出ている。補償に関して、天変地異が原因ということで対応するとすれば、利益追求が目的の民間ベースでは難しいので、発想が理解できないわけではない。

だが、一方でわが国は資本主義国家であり、市場のルールというものが存在する。それは株式市場などだけではなく、民間企業が負担すべきリスクという観点でも同様だ。とすれば、民間企業に政府が突然明確な仕組みを示さずに関与して、本来通常のケースでは負担する必要のなかった補償に応じるという図式は、慎重に対応することが求められる。

これは何も補償をするなということではない。出来る限り手厚い補償をすべきは当然だと思う。ただ、民間企業として対応できる、或いはすべき分野と、そもそも原発を推進した政府が自ら実施すべき分野があるのではと考えるのだ。

このあたりを整理せずに、ただ補償すれば良い、資金力がないから政府がバックアップすれば良いという話ではないのではないか?補償は政府が中心になって実施し、その負担を適切な部分については東電に求めるという順序で対応すれば遅れもないはずだ。

ましてや、電力料金が上がると困るからとか、政府の予算がないからという事情で、安易に法的な裏付けもなく金融機関に債権放棄を求めるというのも如何なものか?私が元々金融畑なので銀行の肩を持つわけではないが、そもそも仮に東電が負担すべき分があるとすれば、そのリスクを最初に負うのは株主であるはずで、銀行にしても一般債権者にしても、本来は株主よりは保護されるべきものだ。

ましてや、対応に不備があったとは言え、今回の問題は不可抗力に近い部分もあるし、原発の問題は政府を含めた日本全体の問題だ。これを糊塗して、ポピュリズムに走るのはさすがに問題が多いと感じる。もちろん、日本全体の問題だから、それぞれが負担して復興に向かうのは当然だが、唐突な一部産業・企業負担論で自分たちの責任を回避し、国民負担もないでしょう?というようなやり方は絶対に避けるべきだと考える。

それこそ、金融や株主に負担を求めるため、電力供給を維持するために新会社を作って資産を移し、負債を抱えた部分は倒産処理を行うなど、わが国の社会システムに適合した解決策を示すべきだと思う。

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