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カフェで買うコーヒーとコンビニで買うコーヒーは何が違うの?(2/2)

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こんにちは、今回もお読みいただきありがとうございます。

前回はタリーズが提供している2種類のアイスコーヒー、すなわち「コンビニ等で売られている130円の缶入りアイスコーヒー」と「路面店で提供されている340円の水出しアイスコーヒー」について、価格の違いを供給側のコストを分析してみました。

今回は需要側から、「なぜその価格差が成り立つのか?」を考えてみたいと思います。



130円の缶コーヒーと、340円の水出しアイスコーヒー。前回の記事で、製造コストはそれほど大きく差がないということが分かりました。しかしそれでも、敢えて高いコーヒーを選択する人が沢山いるわけです。それはいったい、何故なんでしょうか。



タリーズやスターバックスといったカフェを利用する目的のひとつに「時間をつぶす」というものがあります。待ち合わせの時間までカフェで過ごしたり、デートの途中で立ち寄って会話をしたり、本を読んだり、ちょっと勉強したり・・・。340円のコーヒーは、コストの大部分が店舗のテナント費用や水道光熱費、店員の人件費で構成されているわけですから、店内で過ごしたい人にとっては納得しやすい話です。

つまるところ、店内で過ごす人の多くは、「コーヒーを買う」と同時に「その場所を借りる対価を支払う」ということをしているわけです。実際、カフェのごみ箱には「飲み残し」を入れるための漏斗のようなものがあったりします。これはコーヒーを飲みきらずに店を出てしまうお客さんがたくさんいることの証拠でもあります。


しかし、ここでもうひとつ考えなければならないことがあります。・・・そう、テイクアウトです。


タリーズではコーヒーのテイクアウトも行っています。テイクアウトの場合は、当然ながら店内で過ごすわけでもありません。しかし、払う金額は同じ340円です。私達は店内ですごす時間があっても、なくても、同じ値段をコーヒーに対して支払っています。私達はなぜ、味の違いも分からないのに(分かる方がいたらすみません)、しかも店で過ごすわけでもないのに、わざわざ高いコーヒーを飲みたがるのでしょうか?


その答えは人それぞれです。
中には「あの店のあのバリスタがイケメンだから」という理由の人もいるかもしれません。しかし、消費者がカフェのコーヒーに何より求めるのが「ファッション性」または「ステータス感」であるといわれています。

オフィスビルが立ち並ぶ街角にある、シックな内装のカフェに、ちょっと早歩きで颯爽と入るキャリアウーマンの私。横文字のメニューもすらすらと読み上げて、プリペイドカードを使って常連であることまでアピールするの。私がコーヒーを受取って店を出たあとも、オフィスに帰って席に着いたあとも、ロゴ入りのコップや紙袋が、私がそこでコーヒーを買うようなオシャレな人間であることを証明してくれるわ。

・・・いや、さすがにそこまで考えてはいないでしょうが(笑)、街のビジネスパーソンは、コンビニでおにぎりやサンドイッチと一緒に買ってしまうのではなく、わざわざお気に入りのカフェにコーヒーを買いに行く、というところでこだわりを演出する・・・そんなオシャレな印象を与えるツールとして、カフェを活用しているのではないかと考えられます。


ちなみに、そんな状況をコンビニも黙って見過ごしているわけではありません。

最近は、その場でマシンが豆を挽いてくれるマシンを置いているコンビニの店舗もずいぶんと多くなりました。挽きたてという「本物感」と「便利さ」、そして缶コーヒーと大差ない「価格」を兼ね備えたコーヒーの提供で、かなりの支持を集めています。


「違いの分からない」私が解説したコーヒーの話、いかがだったでしょうか?これからも街中の色々な不思議の答えを、ロジカルに追究していきたいと思います。

ぜひ感想をお寄せ下さい。
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