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jobは守るなworkerを守れ

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ハローワークにおける麻生総理の空気読めない発言には本当に頭に来ましたね。「パンがなければ(略)」に相当するのではないでしょうか?麻生総理については、本来は頭は切れるのについ本音で話してしまい物議を醸す人と何となく思っていましたが、実は単に頭の悪い人だったんだなあという印象です。

それはさておき、改めて言うまでもないですが雇用問題がシャレにならない状況になってきています。雇用が悪化すると、消費者の購買力が落ちてますます景気が悪化し、負のスパイラルが周りだしますし、社会不安も増して治安の問題も生じてくるでしょう。また、やる気をなくした若者達の「サイレントテロ」も問題です(従来型メディアや政策立案者の人で「サイレントテロ」のインパクトをまじめに検証した人っているのでしょうかね?)

ということで、労働者を守ることが急務です。短期的には住居問題が特に重要でしょう。人道的な観点はもちろんのこと、定住所がないと職探しにも困りますし、自炊できないと食費も節約できませんのでこれまた悪循環にはまってしまいます。より長期的には再研修や企業の求人における年齢制限の禁止などの対応策が必要でしょう。

しかし、失業者を出したくないからと言って、本来的には必要ない仕事を維持するのも問題です。1人でやれば済むのに5人がかりでやってみたり、情報や商品を特に付加価値もつけないで右から左に流すだけのような仕事です。こういう仕事を企業内に維持していると結局効率性が悪化して競争力が落ち、経営状況が悪化し、最終的には雇用が悪化しますので長期的には逆効果です。

昔、ある本で”Protect Workers; Don't Protect Jobs”という言い回しを見ました。どの本で見たのか忘れてしまいましたが、真っ当な考え方だと思います。労働者は守らなければならない、だからと言って不要な仕事を無理に維持するようなことがあってはならないということです。

しかしながら、残念なことに、現在の日本はこれとは全く逆にjobを守ってworkerを守っていないケースが多すぎるのではと思います。

大昔にテレビで見たのですが、ネット配信に消極的なレコード会社の経営者で「CDジャケットを印刷している会社のこともありますし...」なんて言っている人がいました。これも、workerではなくjobを守ってしまっている例のひとつでしょう。

日本語で「雇用を守る」というとjobを守るのかworkerを守るのかがはっきりしないように思えますが、両者を明確に区別することが重要と思います。

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