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若者のテレビ離れ説は本当なのか?

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「最近の若い人はテレビを観なくなった」とはよく言われる話です。ただ、この手の話は定量的に調べてみると実はそうでもなかったなんてこともあります。また、たえとば、2ちゃんねるで「最近は全然テレビ観てない」という投稿がいっぱいあったとしても、サンプルがかなり偏ってますからあまり意味がありません。

ということで、中立的かつ定量的なデータがないかなと探したらすぐ見つかりました。メディア環境研究所というところが出している「2008年メディア調査」というレポート(PDF)です。メディア環境研究所は博報堂グループですし、実際に調査を行ったのはビデオリサーチなのでネットびいきの調査が行われていると言うことはないと思います(どっちかと言うとテレビびいき?)。また、サンプル数も2,000件の郵送調査なので一応信頼できるかなと思います(Webで調査したらネット有利な結果が出るのは当たり前ですからね)。なお、Webで公開されているのは東京地区のデータだけです。

この資料で興味深いのは9ページ目の性年齢別のメディア接触時間なんですが、20代男性の層では、ネットを使う時間の方がテレビを観る時間より長くなっています。テレビは思ったより検討健闘しているとは言えますが、少なくとも東京地区の男性については「最近の若い人はテレビを観なくなった」と言えると思います。

興味深いのは、これから5年~10年経ってこの20代の人々が30代になって世帯主になった時にどうなるかという点です。たぶん、テレビを観るようになるということはなく、ますますネット寄りになっていくのではないでしょうか?可処分所得の多い年齢層のテレビ離れが何をもたらすかは興味深いところです。

このデータを年齢ではなく可処分所得で分類してみるともっとおもしろいかもしれません。よく言われている「所得の多い人はテレビを観ない」説の根拠となるデータとなるかもしれません。まあ、そういうデータは広告代理店が絶対表に出さないかもしれませんが。

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