オルタナティブ・ブログ > 栗原潔のテクノロジー時評Ver2 >

知財、ユビキタス、企業コンピューティング関連ニュースに言いたい放題

日本の著作権法にもフェアユースの時代が来る(のかなあ)

»

朝日新聞によれば、知的財産戦略本部は著作権法においてフェアユース的規定を取り込む方針を決めたそうです。具体的には、「『著作権者の利益を不当に害さない』といった条件を付け、ユーザー側はその条件のもとで利用が許されることになりそうだ。」ということだそうです。

今年の当ブログの微妙な初夢ネタで、日本にもフェアユース制度導入みたいなことを書きましたが、それはまあこうはならんだろうなーという前提のもとに書いたわけですが、半年も経たないうちに風向きが変わってきたようです。

もし、本当にこのような日本版フェアユースが制定されれば、クリエイティブなパロディやMADがお墨付き(ただし、非営利目的の場合)ということになるでしょう。検索エンジンに関するもやもやもなくなります。もちろん、CDやDVDを丸ごと複製して配付したりするのはたとえ非営利でもNGです。

ただ、理念は良いのですが、問題は実装です。米国でフェアユースがそれなりに機能しているのはそもそも判例重視という英米法の伝統があるからです。日本でそのまま米国式を導入するのは困難でしょう。過剰に司法に依存するのではなく、著作権団体と消費者団体の話し合いで「運用基準」みたいなのを作っていくのが妥当でしょうか。しかし、日本は消費者側に立つ団体の力が相対的に弱いので、運用基準も権利者側の都合だけで決められてしまいそうです(MIAUがんばって)。

方向性としては良い方向性に向かってきたなとは思うのですが、これから議論を重ねていくとどんどんグダグダになっていきそうな不安があります。また、「09年以降の著作権法改正をめざす」ということで、2ちゃんねる用語で言えば「おまはや」な感は否めません。

Comment(6)