オルタナティブ・ブログ > 栗原潔のテクノロジー時評Ver2 >

知財、ユビキタス、企業コンピューティング関連ニュースに言いたい放題

著作権侵害の罪の重さについて

»

著作権料の支払いなしにビートルズの曲等をピアノで生演奏していた経営者に懲役刑(執行猶予付き)の判決という記事

現行著作権法には、故意で著作権を侵害すると5年以下の懲役and/or500万以下の罰金と規定されてますので、もちろん法の運用としては間違っていません。しかし、感覚的にはこういうケースで執行猶予付きとはいえ懲役刑は厳しい感じがします。(この種の問題の背景として、(特に、零細事業者にとって)実演に対するJASRACの料金が高すぎるのではないかという議論もありますが、それはまた別途)。

今年の7月1日の著作権法改正により、罰則はさらに強化されて10年以下の懲役and/or 1000万円以下の罰金となります。他の犯罪の刑事罰と比べてもちょっと厳しすぎるのではないのかとの問題提起を壇弁護士がブログでされています

たとえば、商業的規模でDVDやソフトウェアを複製して販売したりすれば、被害は甚大ですし、抑止力として刑事罰があるのは理解できます。しかし、(営利目的とはいえ)個人ベースでの演奏権の侵害で刑事罰というのは正直、違和感がぬぐえません。民事的に著作権使用料相当の売り上げ金を差し押さえるとかだったらまだわかりますが。

Comment(8)

コメント

刑罰の軽重についての感覚というのは、案外難しいですね。殺人事件や大きな被害が出た事故の過失についての報道などでは、軽すぎるのでは?と思うこともあったり。なんらかの指標があって設定されているものなんだろうとは思いますけれど。
ここで採り上げられている件については、確かに差し押さえぐらいでいいようにも思えます。ただ、そうすることで、著作者の権利が充分に保護されなくなる事態に発展するおそれが本当にないのかと考えてみると、わからないので、そういうことも考えての設定であるならば妥当ということになりましょうか。とりとめないコメントですいません。

これまで重罰化の動きは全く存じ上げませんでしたので、大変役立つ情報を頂くことができました。

社会的影響というよりも「個人(民-民)間の争い」の性格が極めて強い著作権(特に財産権)に関する著作権法違反については、刑事罰よりもADRを含めた民事解決手続を整備するほうが効果があるのではないかと、つい考えてしまいます。例えば、量刑は重くするにしても「親告罪」にするなどの工夫があっても良いのではないか・・・と思っています。

財産権的部分にばかり注目するのではなく、著作権法の本来の目的である「文化の発展に寄与する」という趣旨がもっと真剣に考えられても良いのではないかと私は感じます。

トラ

著作権使用料相当の売り上げ金を差し押さえるだけしかできないのであれば、とりあえず無許諾で演奏しておき、民事裁判で敗訴したときだけ、事後的に支払えばいいことになります。発見される可能性は100%ではありえませんので、経済的には、著作権侵害をしたほうが得ということになるでしょう。
記事を見ても、長期間支払を拒んでおり、裁判所の仮処分命令まで無視しているわけで、法秩序を無視する度合いは大きいと思います。ある程度重い刑罰が科されても当然というのが私の印象です。

nmaeda

敗訴した時だけ払えば良いといっても、実際の訴訟となると訴訟費用なども必要ですし、その仕事も失いかねないません。また、個人の演奏で他人の曲を使う程度であれば、かなりリスクが高いと思いますよ。
もちろん、DVDやCDを大量にコピーして売りまくるような場合は非常に効率が良いので、そもそも同列に扱うことが乱暴だと思いますが。
今回の場合、仮処分を無視は、確かに悪質ですが、そのような場合を考慮して各法の罰則を決めるのは本末転倒で、それは別の法の範疇でしょう。

新聞ニュースを見て驚きました。カラオケとは違うぜ~っと…店主に味方したいです。いくら商業ベースの「バー」でのこととはいえ、庶民にとって息抜きのひとときが厳しくチェックされているとは…興ざめの話題でした。

違和感

法は法としても違和感があるのは、実際の著作権者(音楽ならば作詞・作曲・歌ってる人等)に渡る金額があまりに少ないことでしょう。
JASRACに払われた金額の0.5-1.5%程度だそうです。
強制的に出版社(取り分50%)に著作権を委託させられる等の問題も。
何よりJASRACへ天下った理事の年収は3700万だそうな。
あはは(自虐)

栗原潔

聞いた話なので真偽は定かではないのですが、米国と比べて日本で生演奏の店が少ないのは実演に対して徴収される著作権料が高いからだという説があります。どなたか確かなソースがあれば教えて下さいな。

確かに著作権違反の罪、重すぎると感じますね。壇弁護士のブログで強制わいせつなどと同じと説明がありましたが、それはちょっとひどいと思います。
著作権違反の罪がどんどん重くなっていっているとしたら、どこかの圧力があると考えるのが妥当だと思います。飲酒運転のようなマスコミの盛り上がりもありませんしね。

今回の懲役刑にしても業者が組織的にやった場合を想定しているように思うのですが、それを個人のしかも生演奏にあてはめるはどうも一般的な常識に合わない気がします。
推測するに、被害額が大きいことがことが一因ではないかと、800万円以上ですからね。しかし、算定根拠にはちょっと疑問を感じますし、窃盗でも時効は7年のはずなのに過去10年分と報道にあります。このあたりあまり例がないことをいいことにいい加減にしているように感じます。

本題とは関係ないのですが、なぜビートルズなんですかね。ジョンレノンの曲といわないのはなぜ。モーツアルトやショパンは作曲者で言うのに。

コメントを投稿する