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Web 2.0 Reference Architectureについて

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既報の通り、日立システムアンドサービス主催のEnterprise Web 2.0セミナーで講演してきました。会場は超満員でした。Web 2.0系のセミナーも乱発気味なような気がしていましたが、まだ十分に集客力があるのでしょうか、それともエンタープライズとWeb 2.0の組み合わせが新鮮だったのでしょうか。

リッチクライアント系の開発ツール・ランタイム環境製品を提供している米Nexaweb社のFounder, Chairman & CTOのCoach Wei氏も講演されましたが、Enterprise Web 2.0=リッチクライアントみたいな方向性に持って行くのはビジネス的にしょうがないとしても、なかなか興味深い講演でした。

同氏が提唱したWeb 2.0 Reference Architectureという概念にちょっと感じるモノがありました。クライアント-サーバ間のソフトウェア・スタックをWeb 2.0的に見直そうというお話です。

まず、ブラウザ層はコンダクタ層と呼び代えて、Ajax、Javaアプレット、.NET、オフラインを共通に扱えるようにします(コンダクタというのは、ビジネス・プロセスを「指揮する」というニュアンスのようです。)

コンダクタ層とはインターネット・メッセージング・バスが接続され、パブ-サブ、プッシュ、ポイント・ツー・ポイントなどの通信パラダイムが一貫してサポートされるようにします。さらに、エンタープライズ・マッシュアップ・ブローカという階層でバックエンドのアプリケーションとつなぎます。Nexaweb社の開発責任者も来日してたので、「エンタープライズ・マッシュアップ・ブローカとコンポジット・アプリケーションとはどう違うのですか?」と聞いたら、笑ってたので基本的には同じ概念で言葉をおニューにしてみただけのようです (^_^;)

こういう階層構造にすることで、テクノロジーの多様性を隠して、一貫性のあるアプリケーション開発をできるようにしましょうというのがNexaweb社の戦略のようです。このように、エンタープライズのインフラ・アーキテクチャ的な観点からWeb 2.0を考えるというのは、私も前からいろいろと考えてますが、まだどんどん新しいアイデアが出てきそうな領域であります。

なお、講演資料は、日立システムズアンドサービスのイベントサイトからダウンロード可能になるようです(無料登録が必要)。

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