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意外にもWeb 1.0的なPandora

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池田信夫氏のブログで、Pandoraというネット・ラジオ(?)のサイトを知りました。アルゴリズム・ベースで自動的に選曲を行って、ストリーミングしてくれるサイトです。利用者が好きなアーティスト名や楽曲名を入れると、それと同系統の曲を選んでかけてくれます。たとえば、Pat Methenyと入れるとギター中心の聴きやすいジャズ、Underworldと入れるとポップなインダストリアルを選んでかけてくれます。

自分好みのジャンルを選んでかけてくれるわけですから、聴いてる方もCD(または、iTMSダウンロード)買ってみようかなと思う可能性も高そうで、アフィリエート・ビジネスの効率性は高そうです。Amazonの「この商品を買った人は(略」とは異なり、聴きながら買うかかわないかの意思決定ができるわけなので、コンバージョン・レートははるかに高いでしょう。

では、どうやってこういう仕組みを実現しているかというと、CNETの記事によれば、

Pandoraには、ミュージック・アナリストと呼ばれる従業員が42名いる。その多くはミュージシャンで、音楽理論の素養があったり、正式な教育を受けたことのある人たちだ。アナリストたちは1曲につき20分から30分を費やしてその楽曲の「DNA」を記録する。

ということで、何と人海戦術で曲の属性データベースを作っているようです。コラボレーティブ・フィルタリングとかフォークソノミーとかで、ユーザー自身の集合知により意識的・無意識的に属性データベースを作っていくアプローチではないようです。これは非常にWeb 1.0的であります。スケーラビリティ的な課題はありますが、こういう逆張りもありかなと思いました。

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