日本人とLとR
小学校での英語必修化のエントリーを書いた時に書こうと思って書き忘れてた話がありました。15年ほど前に米国に留学してた時に、言語学だか認知学だかの研究者の実験台にボランティアでなった時のお話です。
その実験とは「なぜ、日本人はLとRの区別がつかないのか?区別が付くように訓練する方法はないのか?」というものです。具体的には、コンピュータで合成したLとRの音、さらに、LとRの中間の音を聞かされてLかRかを判断させるものです。英語ができる日本人であれば、100%のLと100%のRは識別できます。ところが、LとRの中間の音だと結果がランダムになってしまうそうです。それに対して、英語圏の人は100%のLと100%のRがわかるのは当然として、中間の音もどこかのポイントで明確にLとRの境界が分かれるそうです。たとえば、60%Lと40%Rの音がLとRの中間だなと判断した人は、これよりL側ならL、R側ならRと常に判断するわけです。何パーセントのポイントを中間と判断するかは個人差があるが、その人にとっては常に中間点は一定になるのだそうです。
これを利用してトレーニングをすれば日本人にもLとRの区別が付きやすくなるはずだということで週1回くらい通ってたのですが、自分の修論が忙しくなったのでいつのまにか行かなくなってしまいました。なので、どういう研究成果が出たのかはわかりません。どこかに論文がないかサーチしてみようかなとも思います。今見てもあまり一般的な訓練方法でないと思えるので、実験は失敗だったのかもしれません。
この特訓の成果かどうかわかりませんが、自分はLとRが区別できなかったり発音できなくて困ることはほとんどないですが、自分を始め大人になってから英会話を学んだ日本人にとってよりキツイのは母音の方ではないかと思います。特に、"urban"とか"earth"などのあいまい母音の発音であいまいさが足りないとなかなか通じないですね。
あと、アクセントを間違えると信じられないほど通じません。留学中にPat Methenyのコンサート・チケットを予約しようと思って、電話で日本風に「パット・メセニー」と言っても全然通じない。thの発音が悪いのかとオーバーにやっても通じない。しょうがないので、P-A-T-M-E-T-H-E-N-Y」とスペルアウトしたら、「オー、パット・メセニー!!」と言われてしまいました。米国人は「こいつは、『パット・メセニー』と言っているが、たぶん、『パット・メセニー』のことを言ってるんだろうなー」との類推すらしてくれないということです。
まあ、いずれにせよ、大人になってからヒアリングやスピーキングの勉強しても、子供のころからネイティブの英語を聞いてる人には絶対かなわないわけであって、そういう意味でも小学校の英語必修化、少なくともヒアリングとスピーキングをやらせるのは重要ではないかと(強引に話をつなぎます(^_^;))