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SunのNiagaraに注目

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告知遅れましたが、UltraSPARC T1とSunFire T1000/T2000の発表に来日したサンマイクロのVPのスティーブキャンベル氏のインタビュー記事が本体に載りました。

最近、サーバ向けプロセッサの世界では大きな動きもなく、新製品が発表されてもあまり興味がわかなかったのですが(唯一の例外が、AzulのVEGAでしょうか?)、UltraSPARC T1(開発コード名:Niagara)はかなり革新的です。8コアで各コアあたり4スレッドという最近のマルチコア化、マルチスレッド化の動向を強く推進したデザインです。

割と最近までプロセッサの処理能力向上は、複数の命令実行ユニットを設けたり、命令の発行順序を動的に変えたりという高度なテクニックで命令ストリームあたりの性能を向上しようという方向性にありました。この流れの中では、Sunのプロセッサ技術は正直見劣りがするものでした。

なので、およそ3年前にSunがマルチコア、マルチスレッドにより性能向上を目指すというThroughput Computing構想を発表した時も、「もう、Sunには高度なプロセッサ設計能力がないので苦肉の策に出たか」と思ったものでした。

ところが、その後、命令ストリームレベルの性能向上は思ったより限界がある(特に、消費電力の点で結構厳しい)ことが明らかになり、多くのベンダーがマルチコア化、マルチスレッド化の方にシフトしてきたわけです。そういう流れの中で、Sunは今までの不利な条件を一気に有利な条件に変えることができたわけです。コアあたりのマイクロアーキテクチャがあまり高度でないことが逆に幸いして、8コアも単一チップ上に搭載することができましたし、マルチスレッド化によるパフォーマンス向上も大きくなります。さらに重要な副次的効果として、チップ全体の発熱量や消費電力も下げることができました。Sunのエンジニアもここまで先を読んでやっていたのか、単に苦肉の策がタナボタ式にうまくいったのかはわかりませんが、プロセッサ・アーキテクチャの世界で変わりつつある風向きにうまく乗れてる印象があります。

Sunもソフトウェア系の無償化を進めたり、StorageTekを買収したりで、再度、収益源としてはハードウェアにフォーカスするという戦略を固めつつあるように思えます。弾丸が強力なのは確かなので、後は実際のビジネスにどれくらい結び付けられるのかを注目していきたいと思います。

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