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技術用語全般のオーバーロードについて

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「サービス」という言葉のオーバーロード(ひとつの言葉に多くの意味があること)について書きましたけど、他にも「オブジェクト」とか「アーキテクチャ」とかやっかいな言葉がいっぱいあります。

先のエントリーへのManabuさんのコメントで思い出しましたが、「英語圏では、技術的概念に対してできるだけ既にある日常語を割り当てようとする。一見わかりやすそうだが、かえって混乱を招いているのではないか。」という趣旨の記事を大昔に読んだことがあります(たぶん、共立出版の今はなき「bit」誌だったと思うのですが、記憶不鮮明)。

たとえば、"program"という言葉をとっても、既に「計画」とか「番組」という意味で日常的に使われていた言葉をオーバーロードして使ってるわけです。「(TV)番組の管理をするプログラム」と英語で書くと、"program managing the programs"となってしまいます。このくらいならば前後の文脈でわかるかもしれませんが、"service"のように意味の相違が微妙だと混乱の元になりかねません。

日本語でも、最近はほとんどの述語をカタカナ書きするので同様な問題が生じてしまいます。だけど、昔は、たとえば、"program"であれば「算譜」というように、絶対に他の言葉と混同しない新しい言葉(しかも、漢字のすばらしい点で、はじめて見ても大体の意味がわかる言葉)を作り出していたのですよね。

カタカナ書き全部やめるとかえってわかりにくくなりそうですが、たとえば、SOA=「業務部品指向システム構築手法」とでも訳せば、述語の本質もつかみやすくなるし、混乱も少なくなるのではと思います。

Comment(9)

コメント

yuaoki

それなら、オーバーロードも「多重定義」って書くべきなのではないかと思いますがw。オーバーライドとオーバーロードを良く間違えるのは、英語のできない日本人の特徴らしく、とても残念。

この意見には全面的に賛成。
 「オブジェクト指向」じゃなくて「対象志向」のほうが良かったんじゃない? とか今でも思うし。

 「電算機」とか「算法」とか言ってももはや通じないのかな……。

livinginabox

「プログラム」と「算譜」のどちらがわかりやすいかは微妙な気はしますが、英語を訳すというのは、それはそれで苦労がありますね。C++ の黎明期に、destructor が「消滅子」や「破壊子」と訳されたりしていましたが、訳語が統一されていないというのも問題なので、結局「コンストラクタ」というカタカナに落ち着いた、という面もあるかと思います。identifier の訳語として定着している「識別子」も、知らない人にはチンプンカンプンでしょう。line が「行」だったり「線」だったりするように、場合によってはコンテキストで訳語を使い分ける必要がありますね。
SOA のように、しばしば略称が使われるものだと、元のカタカナを残しておくほうがイメージしやすいという点もありますよね。「製品寿命管理」から「PLM」は遠い:-)
だいぶ前の COMDEX の Bill Gates の基調講演で、一般の人々に「アプリケーションを実行して・・・」とか「システムをリセットして・・・」という話をして、まったく通じないようすを面白おかしく取り上げたビデオが紹介されたことがあります。英語圏だからといって、わからない表現はわからないのでしょう。ですから、混乱を招きそうなら、
> オーバーロード(ひとつの言葉に多くの意味があること)
のように注釈を入れるというのでよいのではないでしょうか。どうせ、カタカナ語とか3文字略語ばかりを並べた文章って「煙に巻いている」印象がありますしね。
(コメント長すぎ? 自分でブログ立てて、トラックバックすべきかな^_^;)

栗原 潔

プログラム→算譜の例はあんまりよくなかったかな。日本語の文脈でコンピュータ・プログラムを(たとえば)映画のプログラムと混同することはまずないですからね。
では、たとえば、OOPは「客体指向プログラミング」としてオブジェクト・プログラムは「目的プログラム」とするのはどうでしょう?
もちろん何でもかんでもカタカナをやめろと言っているのではなく、敢えて漢字にした方がわかりやすいケースもあるのではと言っております。

livinginabox

カタカナの濫用を避けよう、という話は基本的に賛成ですよ。たとえば、「ポリモーフィズム」と「多態性」なら、後者を選びます。
逆に、オーバーライドやオーバーロードは override や overload というプログラミング言語としての予約語と重なることもあるのでカタカナを選びますね(div をディブと言うのか、という突っ込みはなし^_^;)。かなり前に「プロパティ」の訳語に困ったこともありました。Windows のおかげか、今では普通に使われる用語になりましたが、意味を理解している人は意外に少ないかもしれません。
その Windows もバージョン 3.0 の頃だったか、「File」というメニューを、プログラムマネージャの操作に合わせて「アイコン」と表記していたことがありますね(黒歴史か? :-p)。
洋画の邦題を決める担当者と同じで、“敢えて日本語にする”という場合に、どう表記するかは“かなり”悩ましい問題です。一般に受け入れられるかどうかとか、将来、言葉を組み合わせた表現が出てきたときに違和感が生じては困るということもあります。結果として“無難”なカタカナを選んでしまうのですよね。それに、「客体指向プログラミング」と書いたところで、「客体」が何を示すのかわからない人には、「オブジェクト指向プログラミング」と同じくらい得体の知れない表現でしょう。

定着しているカタカナ言葉と日本語に訳すべき言葉のバランスが難しいんですよねー。翻訳と言うのは Emotional なものなので一概にこれが良いとは言えないのですよ(><。

特に最近てこずるのが RSS 関連の用語で「feed」や「Aggregator」と言った単語が訳しようが無いです・・・。

実はあまり表面には出てこない問題なのですが、日本語の訳し方以前に、そもそもの英語の質自体が落ちている印象があります。

オブジェクト・プログラムは「対象指定型プログラム」で良いのでは?

Bursting head

横文字の技術用語って本当は翻訳じゃなくて造語しないとだめなんでしょうが、最初に元の用語を知ってしまうと造語って難しいですね・・・ でも翻訳だとなあ~ 直訳で多重糸ってのを読んで一瞬何のことだかわかりませんでした :-)

栗原 潔

>>Norahさん
しかし、object→「対象」としてしまうと一般名詞との区別がますますつきにくくなるのでは?「客体」も造語というわけではないのでちょっとまずいですけどね。
>>Bursting headさん
うむ、しかし、「多重糸プログラミング」って結構イメージつかみやすい気が :-)

livinginabox

「技術用語の日本語訳」というだけで、1エントリー書けそうな気もしますが:-)
外国語を日本語に訳すという問題は、数学や医学などさまざまな分野で古くからあることですね。もっとも昔なら、単純にカタカナにしてしまうより無理をしてでも漢字をあてる(または作る)ことが常識だったところが、最近ではカタカナにする方が無難という風潮になっている面はあるでしょう。あるいは新しいテクノロジや方法論に対して日本語訳を定着させるほどの「権威」が不在なのかもしれません。
「微分」「積分」といっても、それが「何」であるかを知ってはじめてコミュニケーションできる言葉になります。まあ、これが、パソコンソフトで初めて出てくるような用語だったら「誘導法」とか「総体法」とか訳されてしまいそうではありますが。:-)

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