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組み込みソフトを十把一絡げはまずいのでは?

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機能のエントリーで、「今の日本の組み込みソフト市場はちょっとバブル入ってる」というようなことを書きました。こういう状態の市場でよく見られる現象が、いろんな人々が市場規模予測(そのほとんどが人々が思うより大きい数字)を出してくるというところでしょう。

まあそれ自体はよいとして、ひとつ気になるのが、多くの人が「日本の組み込みソフト市場は~」と、組み込みソフト市場というひとつの均質な市場があるかのような書き方をしていること。これは、昨日のエントリーのコメントにもありましたが、実情とは結構違うでしょう。

かたやAV機器の組み込みソフトであれば、パソコンソフト級の機能とサイズが必要とされることがあるでしょう(違いはUIが汎用でないことくらい)。それとは対照的に、炊飯器の制御したり、自動車のエンジンの燃料噴射制御する組み込みソフトもあります。

前者であれば開発方法論は、通常のパソコンソフトとあまりかわらず、メンテ性を重視した開発方法論が採用できる(採用すべき)でしょう。一方、後者はサイズの問題やリアルタイム性の問題で、あまり深い機能スタックを積むことはできないこともあり、かなり手作りに近い開発が必要とされるでしょう。また、かなり素に近いハードウェアの知識も必要になります。

こういうかなり種々雑多なものを「組み込みソフト」というひとつの言葉でくくってしまうのは、どんなもんだろうか?ということです。

せめて、「人相手」vs「機械相手」、「リアルタイム性要」vs「リアルタイム性不要」、「ハード丸見え」vs「抽象化可能」...等々いくつかの条件でセグメンテーションしないと本質を見誤るのではと思うのであります。

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