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組み込みソフトを十把一絡げはまずいのでは?

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機能のエントリーで、「今の日本の組み込みソフト市場はちょっとバブル入ってる」というようなことを書きました。こういう状態の市場でよく見られる現象が、いろんな人々が市場規模予測(そのほとんどが人々が思うより大きい数字)を出してくるというところでしょう。

まあそれ自体はよいとして、ひとつ気になるのが、多くの人が「日本の組み込みソフト市場は~」と、組み込みソフト市場というひとつの均質な市場があるかのような書き方をしていること。これは、昨日のエントリーのコメントにもありましたが、実情とは結構違うでしょう。

かたやAV機器の組み込みソフトであれば、パソコンソフト級の機能とサイズが必要とされることがあるでしょう(違いはUIが汎用でないことくらい)。それとは対照的に、炊飯器の制御したり、自動車のエンジンの燃料噴射制御する組み込みソフトもあります。

前者であれば開発方法論は、通常のパソコンソフトとあまりかわらず、メンテ性を重視した開発方法論が採用できる(採用すべき)でしょう。一方、後者はサイズの問題やリアルタイム性の問題で、あまり深い機能スタックを積むことはできないこともあり、かなり手作りに近い開発が必要とされるでしょう。また、かなり素に近いハードウェアの知識も必要になります。

こういうかなり種々雑多なものを「組み込みソフト」というひとつの言葉でくくってしまうのは、どんなもんだろうか?ということです。

せめて、「人相手」vs「機械相手」、「リアルタイム性要」vs「リアルタイム性不要」、「ハード丸見え」vs「抽象化可能」...等々いくつかの条件でセグメンテーションしないと本質を見誤るのではと思うのであります。

Comment(5)

コメント

藤村

栗原さん、Blog開設おめでとうございます!
毎日楽しみにしています。

ところで、「組み込み」分野のリスクについてですが、ちょうど「日経産業新聞」6/14/2005でも「組み込みソフトに死角」という記事が載りました。
やはり「プリウス」をフックにしています。ちょっと面白いのは、「名古屋支社」の記者が書いているところですね...。(笑)

anonymous

まあ、パソコン用アプリケーション開発でも、ゲームを作るか勘定系システムを作るかで違いはありますから、そういう情報を必要とする人がセグメンテーションが不可欠という現実を忘れないようにすればよいのでは?
「そうか。組み込み市場が伸びているなら、Z80を勉強しておこう」と勘違いする人は、たぶん、いないでしょう。:-)

栗原 潔

あくまで想像なんですが、通常の業務アプリ系のノウハウが通用すると思って組み込み系に進出することの方が怖いような気がします。明日は、プリウスの話も交えて、この辺について書くつもりです。

知り合いの組み込み得意なエンジニアさんは、最近力を発揮する場がないと嘆いてました。昔はメモリが少ないからこの命令でのエラー処理はこうしてとか、コーディングもこう書けば小さくなるとかあったのが、メモリは足せばいいし、どう書いてもコンパイラがモジュールは適当に小さくしてくれるし。いいんだか、悪いんだか。技術的には、組み込みとかやると機械が実際にどうやって動くというのが分かって、面白いだろうなとは思うのですが。時代は変わったんですね。

anonymous

> 通常の業務アプリ系のノウハウが通用すると思って組み込み系に進出

たしかに、ビジネスチャンスがあるなら取り組みたい、と思う人は沢山いるでしょうね。
蓄積された専門技術がないと、そんなにはうまくいかないということを身にしみている人も沢山いるのではないかと邪推しますが :-)

> 昔はメモリが少ないからこの命令でのエラー処理はこうしてとか...

個人的には、こういうのが大好きではあります(脱線^_^;)

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