自分の考えを語ることができるか?:私が語ったこと
昨日書いた「自分の考えを語ることができるか?」は、そこそこのアクセス数がありましたので、実際に私がタイの日本人の集まりでどのようなことを語ったかを書いてみましょう。
その集まりはIT関連というわけではなく、様々な業種の方が集まっていますので、技術的な話題ではなく、経営的な話題が中心でした。いろいろなテーマで語り合ったのですが、その中の一つに、「自分の組織についてどう考えているか?」というような話題がありました。
私はかなり前から、「組織は必ず拡大・成長しなければならない」と考えてきました。実際には、目先の利益を考えれば「堅実に稼ぐ」という方が楽なものです。そこそこ成長して実力があるメンバーを集めた組織で、確実に稼ぐというのはある意味堅実でしょう。しかし、私はそれでは行き詰まると考えてきました。
ほとんどの組織にはトップから若手まで、幅広い人たちが集まっているものです。あるいは年齢だけでなく、経験年数のレンジでもかまいません。スタートアップ時点以外は、徐々に人を採用していくことがほとんどですから、年齢や経験年数はばらつくものです。
ある時点で「この組織は現状でOKだ、このままでいこう」としてしまうと何がまずいのでしょうか。
まず、人は必ず皆年を取っていくことがあります。若い頃より、年を取るにつれてお金が必要になるでしょうから、昇給していかなければなりませんが、同じことを同じ感じに続けていたのでは昇給は難しいものです。
また、固定的な組織は刺激も少なく、現状維持的な考えでは、ほとんどの場合は維持ができないのです。世の中はどんどん変化していきます。組織も変化していかねばなりません。一歩先を行くくらいでないと現状維持すらできないのです。
他にもいろいろあるのですが、私が絶対に譲れない点が、「若手だってリーダーになりたい人もいる」ということです。もちろん、年齢や経験年数を逆転してリーダーになる人もいますが、リーダーだって固定的な考えの年長者ばかり使うより、フレッシュな考えの若手を使いたい場面も多いでしょう。若手はいつまでたってもお茶くみ、という考えは、私は許せません。そんな組織では若手が頑張ろうと思えるわけがありません。
組織が拡大・成長するということは、単に一つの組織が大きくなることだけではありません。どんどん分野ごとに分かれていけばいいのです。組織が大きくなりすぎると動きが緩慢になったり、あるいは誰かが何とかするだろうとサボる人が増えたりするものですが、リーダーシップを持つ人に担当分野と責任を明確化して、どんどん分けていけばいいのです。そうすれば若手も将来リーダーになる夢を描けますし、チームごとの切磋琢磨により、組織全体もより幅広く活躍できるようになることでしょう。
こんな感じの話をしたところ、「その通りだね」「今やっていることをただ続けていては滅びるしかないよ」「うちもそうやっている」「で、いまはどうなの?」とかいう感じの反応で、「なかなか簡単ではないけど、良い方向に向かっていると信じている」と答えると、「がんばれ」「応援するぞ」「何かできることがあれば言ってくれ」と、励ましてもらえました。さらに、「うちはこういう工夫をしたらこんな感じに良くなったよ」とか、アドバイスもいただけました。
そんなやりとりをしていると、お互いの考え方がわかり合えてきて、「また会おうよ」「なにか一緒にできないかな」という感じに、関係が深くなっていくのです。
最初から「私は、私は」と主張ばかりしていても嫌われますので、新しい集まりに参加したらまずは聞くことが大切だと思いますが、聞かれたらしっかり考えを述べること、そしてアドバイスを聞くこと、感謝することが大切です。とくに先輩方が多い場合には、教わること、かわいがってもらうことを心がけるくらいでちょうど良いと思います。謙虚さと共に、しっかりと自分も見てもらうこと、これが人脈作りの一つのポイントだと思います。