ブラザー工業製ルーターの新製品(MIP-3010)その2:DHCP関連
昨日に続き、ブラザーのルーターMIP-3010について書きます。ついでにルーターに関することを中心にいろいろとネットワークの話題も書きますので、MIP-3010に興味がない方もどうぞ。。
まず、大規模向けのDHCPサーバ:ProDHCPを開発・販売している私としては、ルーターといえばDHCP機能に目がいきます。自宅で使っているYAMAHAのSRT100と比較してみましょう。
MIP-3010のDHCP設定部分です。DHCPはサーバ機能の有効/無効しかなく、リレーエージェントは使えません。リレーエージェントがどんなものかは後で説明します。一般的な家庭用ルーターと同じような感じです。
SRT100は、DHCPに関して、サーバかリレーエージェントが選べます。リレーエージェント時にサーバを複数、しかも4個も指定できるのはとても便利です。こちらも複雑なオプションなどの設定はできません。YAMAHAのルーターはtelnetで接続してコマンドラインでの設定もできるのですが、そこでは、
# dhcp scope option ?
入力形式: dhcp scope option スコープ番号 オプション=値 ...
スコープ番号 = 1-65535
説明: DHCPスコープのオプションを定義します
こんな感じにオプションも自由に設定できます。
業務用のルーターはYAMAHAに限らず、telnetやシリアル接続で、コマンドラインで設定ができるようになっているものがほとんどです。ブラウザで の設定の方が使いやすいように思うかも知れませんが、慣れたエンジニアが細かい設定を行う場合は、コマンドラインで行う方が間違いにくくスピーディーなこ とが多いもので、さらに、多くのルーターをセットアップする場合などに、設定を事前にテキストで準備しておいて流し込む、ということも良くあります。 SRT100は業務用とコンシューマー用のちょうど中間くらいの微妙な位置づけだと感じていますが、ブラウザでの設定もそれなりにできますし、コマンドラ インでの設定も業務用のRTX1100などと同じような感じでできます。
MIP-3010でコマンドライン風にやるとすると、設定保存/復元機能を使えば似た感じにはなりそうです。設定保存すると、rc.confとprovisioning.confという2つのファイルができ、前者がルーター機能の記述、後者はSIP関連の記述がテキストで入っています。これらを編集すれば複数台を似た設定にしていくときには便利そうですが、フォーマットの説明は当然無いので、試行錯誤が必要かも知れませんね。
このあたりが、MIP-3010が小規模オフィス向けというターゲットなのかもしれませんね。シンプルに簡単に確実に、という感じで。個人的にはせっかく無線LAN-AP機能やIPSecもあるので、なおさら大規模な構成の、拠点用オールインワン機という使い方も良さそうに思うのですが、このあたりのコンセプトはブラザーさんでのミーティングを楽しみに待ちたいと思います。
【DHCPリレーエージェントとは?】
DHCPクライアントはUDPのブロードキャストを使ってDHCPサーバに問い合わせます。ブロードキャストはネットワークセグメント内にしか届かないため、DHCPサーバは各セグメントに1台必要になってしまいます。それではセグメント数が多い場合にあまりにも管理が大変になってしまいます。一方、端末台数が多いのにセグメント分けをせずにネットワークを構築すると、ネットワークの仕組み上、
・通信が重くなりやすい
・1カ所の障害が全体に影響してしまいやすい
などの問題が出てしまいます。
そこで、ルーターにDHCPリレーエージェント機能を持たせることが考え出されました。リレーエージェントは端末からのDHCPブロードキャストリクエストを受信し、それをDHCPサーバに問い合わせ、応答を得たら、端末に直接返送します。中継をしてくれるわけです。それにより、DHCPサーバ1台で複数のセグメントを統合管理できるようになるのです。
ちなみに、当社の社内でももちろんProDHCPで社内の複数のセグメントを統合管理しています。セグメントをつなぐルーターはどうしているかというと・・・Linuxでルーターを構築し、DHCPリレーエージェントは私が自作したものを使っています。自作したものだと、様々なルーターのリレーエージェントの機能を真似するようにカスタマイズして実験したりする際にとても便利なもので。。100万円近くするようなルーターでないと使えない機能も簡単に実装して確認できます!
ということで、今日はルーターのDHCP機能に着目してみました。まだまだ続きます!