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予選をやるということ~コンペに臨む心構えとして

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 20122016年のオリンピック開催都市への立候補都市を絞り込むための国内での選考が行われている。競技施設面では福岡、財政面と知名度では東京が有利だということだが、JOCの評価委員会は評価報告書に財政力で勝る東京都の優位性を盛り込むことにしたようだ。

 オリンピックの開催都市はこうした日本国内での一本化作業ののちIOCで選定されるのだが、いきなり日本から複数都市が立候補するのではなく、まず国内で予選を行ってその勝者を国が一丸となって推挙するという姿は正しいし、そうでなければ日本でオリンピックを開催なんてできない。

 ところがITコンサルタントとしてシステム構築関係の調達コンペを仕切っていると、社内でこういう予選を経ずに提案を持ってくる会社があるのに驚く。対立するような複数の提案を並立的に持ってくるのである。提案の中の細かい部分や枝葉部分をオプションとして複数の選択肢を示すのではなく、ベースにするパッケージ製品や実際の構築担当の責任部署といった提案の骨子ともいえる根本的な部分を両案示してくることに出くわすのだ!(驚く無かれ実話である)

 その意図は、「どちらでもやれますよ。ですから我々を選んでください」ということらしいのだが・・・

 勘弁して欲しい。こちらとしては提案をお願する過程でそれなりの情報を開示して、それにあわせて提案側が最も得意としその状況に合うと思ったものを取捨選択して提案してくれと言っているのだから、この回答はありえない。

 状況に合わせて良い回答を選ぶことが出来ないということはSIerとして良い選択をする能力がないという裏づけであり、こういう行為に至るのは自社内ですら意思決定が出来ず中途半端な仕事しかできない証拠である。「きちんと社内で予選(コンペ)をして両案の細部を比較してからもってこい!」と言いたい。昨日のエントリーの続き的に言うなら「頭使って答えを考えてから提案をもってこい!」ということになる。

 こういう場面で、よく営業が口にする「我が社は何でも出来ます」という営業トークは「つまるところ、何をやってもそれなりで、何も出来ません」と聞こえて虚しく響く。

 顧客の立場にたってまずどの案が最も顧客に魅力的なのか、次に自社としてどの案にメリットがあるのか、そういう視点で自分たちの提案を吟味してから持ってくるべきだ。確かに最終的にコンペに勝つために駆け引きはあるが、それは両案併記という手法ではなく、最終的な外部のコンペ相手との差別化を考慮して単純に技術的に優れたものを選ばず逆を選択したり、逆に他社と同じ製品を選択して価格面での競争に持ち込むなど、そういった面に頭を使うべきである。実際に社内でのそういう検討過程を経て磨き上げられた提案でないと、もはや市場では勝ち残れない状況である。

#ちなみにこのように「複数の案を並列的に提案してくる」会社は、多くの場合大企業の情報システム部門のスピンアウトから子会社というような生い立ちとしたSIerであることが多いのは単なる偶然ではなさそうである。

Comment(2)

コメント

タカマルロボ

いつも吉川さんの記事で勉強させてもらっています。
実は自分も良く選択に悩まされる事が多くあります。
その際はお客様との打ち合わせにより考え方・ポリシーをヒアリングし、最適な運用案を持っていき了承を得た上で、構築に入るので不具合がない限り割とスムーズですが、途中で担当が替わったり、長い間失注と思って(間のパートナーも)急に復活して発注が入った場合は結構危険で、要件はあったものの特に詰めていないのでその時に判明した運用ではリスクが発生すると分ったとたんに、言った言わないの水掛け論に繋がる事があります。もちろんお金を出している客が一番強気なのですが、その時にそのリスクはそちらで持ってくださいといわれているベンダーは気の毒ですが、当然我々も巻き込まれます。パートナー側の担当も替わっていたりすると完全にうっちゃられますが、ジョブローテーションを行なっている体制では防ぐ手立ては議事録とその承認だけなのでしょうかね。かと言って、立場上パートナーにとやかく言えませんし。。危険な匂いは経験で積むしかないのでしょうね。(^^;)

お久しぶりです>タカマルロボ
 顧客とSI業者間の要件合意や責任分界はこの業界でつねについて回る問題ですね。
 丸投げ発注や我儘顧客に対応するには受注側があらかじめリスク分を金額に乗せておくというのが業界の通常のやり方のようです(中さんの以前のエントリーにあります)
 結局コスト負担はユーザに返ってくるということがユーザにも理解される時代が早く来ることを願うばかりです。

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