セムラーイズム
やっとこ読み終わりました。
仲間からこの書籍を贈ってもらい読み始めた時には、おお~!こんなに本気でがんばっている企業があるんだ、すごいな~という程度でした。
ただ読み進めるうちに、著者であるセムラー氏自身とセムコ社という組織が、変化することを厭わず、というか変化することに全面的にコミットしながら突き進んでいく姿は、まさにコミュニケーションアートを通して取り組んでいること、また伝えたいことと根っこは一緒だな、と思うにいたりました。
成功した事例があると決まって多くの人は、気軽にためせる方法を知りたがります。そんな人たちに惜しみなく自分の経験を伝えているセムラー氏ではありますが、本書に書かれている印象的な言葉が2つがあります。
『人間誰もが持っている自由を求める心と、人間と人間の相互信頼の力がこれらのプログラムを生み出し、その実行を可能にしたのだという事実を理解して欲しい』と
また、『ルールの文書化はしないこと、それに変わる最高のものはなんと言っても常識だ』と。2つともまずは自分の胸に手を当てて考えなければいけない言葉です。
セムラーが取組んだ数々の斬新な経営方法は、もちろん刺激的で参考になることもあると思います。ただ私はそこに効果的な施策や答えを見出すのではなく、根底に流れる人間に対しての真の敬意と信頼、例外を認めない本気のコミットメントが変革を創り出しているのだということを学ぶことができると思いました。
常に自分と向き合い、自分の考えと仲間の考えを認め、ぶつかり合い、検討し、そして変化することを恐れずにチャレンジし続ける。その上それを心から楽しむことができていること。
まさに人間の持つ創造性を信じることと一緒なんだと思います。
経済が常に不安定で、経済環境のせい、政治のせいにしていたら生き残っていけないブラジルにあるセムラーができたことが、日本でできないことはないでしょう。
日本人らしい創造性とコミュニケーション力で日本発の新たな組織にあり方、働き方、生き方を創り出したいと感じさせてくれた一冊です。