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マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

「2013年 よげんの書」を公開します。(その1)

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【遅くなりましたが「2013年 よげんの書」を公開します。】

 私の所属する株式会社コプロシステム 商品計画研究所では、毎年1月にその年の消費者トレンドがどうなるかをネタにセミナーを行っています。題して「よげんの書」。浦沢直樹さんの長編マンガ「20世紀少年」に出てくる、小学生が空想した未来の物語から拝借して「よげんの書」と名付けました。

 今年は「2013年 よげんの書」。2010年から始めて、もう4回目になります。未来のことなど誰にもわかるはずがありませんし、私程度の人間が「トレンド予測」というのもおこがましいので、「予言」くらいにしておこうと思い、勝手に使わせていただいています。(「20世紀少年」関係者の皆さん、すみません)

 内容はデータや事象からその年におこりそうなことを20項目程度挙げ、解説するというものです。20項目あるので、一回ではご紹介できません。したがって何回かに分けてお伝えしようと思います。このセミナーは1月に開催しました。年の初めからもう3ヵ月も過ぎてしまったので、すでに動きだしているものもありますが、そのあたりは大目にみてやって下さい。

2010年〜2012年の「よげんの書」はこちらから参照できます。


【定点観測による前提】

 世帯年収とおこづかい(可処分所得)の時系列変化を見てみましょう。データ元は、2007年〜2011年は「ブランドデータバンク」、2011年〜2012年は「ぺるそね」のデータを使用しています。

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 2012年の平均世帯年収は590万円で、2007年〜2012年の下げ幅は12.4%になります。一方平均おこづかいは2.61万円で、こちらの2007年〜2012年の下げ幅は33.4%です。平均世帯年収にくらべおこづかいは激減しています。


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 平均世帯年収の推移をさらに見てみると世帯年収400万円未満が急増しています。一方で高額所得者の割合はゆるやかに減少傾向はあるものの、劇的な変化はありません。おこづかいの方は、こちらも3万円未満が70.2%と急増しています。全体的な収入の減少がおこづかいという可処分所得にもろに響いている形となっています。


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 ぺるそねのデータの検証を行うために厚生労働省の「国民生活基礎調査」調べてみると、400万未満の世帯が45.1%、平均所得金額が549万6千円でした。これに対し、ぺるそねは400万円未満の世帯が34.1%、平均世帯年収が590万円でした。ぺるそねの方が世帯年収はかなり高くなっていますが、ネット調査に回答できる世帯ということで、本当の低所得者は含まれていないと考えらます。

 基本的には収入の減少傾向は続いており、2012年に下げ止まる気配は見られませんでした。収入や可処分所得において、格差社会が進展し、多くの分野で二極化する流れが加速していると考えられます。


【20のよげん】

予言(1)「一時的な『スタグフレーション現象?』が起こる。
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 アベノミクス効果により、「円安」「株高」の流れになっています。デフレ脱却の動きに入ったというべきなのかも知れませんが、物価が上向く要因は「円安」によるエネルギーコストや輸入コストの増加による原料コストが上がることだとすると、生活者の生活を圧迫する動きになってきます。収入が上がらない状況で、物価が上がれば消費に対しては慎重にならざるをえない、という状況になるでしょう。


予言(2)「『安ければいい』の時代が終わる」
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 デフレ基調でものの価格が下がるけれども、それでも消費者の財布のヒモはゆるみません。安くても必要ないモノは買わないのがデフレ下の生活者の意識。全体的に下がってきた低価格品の市場においても「生活防衛型」の消費スタイルと「体験重視型」の消費スタイルに二分されそうです。

 「生活防衛型」の消費スタイルは、生活必需品を中心に安いモノを買うという動きで、ここでは価格の安さのみが選択基準になります。一方の「体験重視型」型の消費スタイルはリーズナブルな価格であっても、生活を豊かにするような価値を提供してくれるモノを求める動きです。ここでは生活提案に対する共感が選択基準となります。前者の代表は大手GMSの「プライベートブランド」、後者の代表は「IKEA」などとなります。


予言(3)「PB vs NBのせめぎあいが激しくなる」
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 PBとは「プライベート・ブランド」、NBとは「ナショナル・ブランド」を指します。7&iやイオングループなど、大手の流通企業が、自社の「プライベート・ブランド」の開発に力を入れています。従来は安いだけで品質は「?」の商品だったのが、日本の大手メーカーの参加で質もかなり上がってきています。小売り各社の差別化戦略の核となる「プライベート・ブランド」と日本のメーカーの「ナショナル・ブランド」のせめぎあいが激しくなりそうです。

流れとしてはこんな感じでしょうか...


1)GSMの進出により地場のスーパー、食品小売り店等が淘汰。

2)空白化したエリアにコンビニが出店、ミニスーパー化(生鮮食品、総菜の品揃え拡充)し主婦、高齢者を取り込む。

3)コンビニの出店数が増加し、巨大化したグループの販売力を背景にプライベート・ブランド商品を更に拡充。

4)独自商品(プライベート・ブランド)により他の小売りとの差別化戦略→プライベート・ブランド商品率が上昇。大手メーカーも無視できなくなった。

5)大手メーカーもコモディティ向けはプライベート・ブランドへの商品供給で展開し、高付加価値商品はナショナル・ブランドで展開するなどの戦略転換が求められる?


予言(4)おひとり様向けの商品・サービスが多様化する
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 人口は減るが世帯数が伸びる、という傾向が強まっています。これは晩婚化などによる単身世帯数の増加を意味します。2030年には単身世帯が4割になると予測され、これに対応する様々な商品・サービスが登場することになるでしょう。

 「ひとりカラオケ」が話題になりましたが、ライブや旅行などにも一人で出かける人が増加してます。この流れに合ったサービスや商品が続々登場するかも知れません。


予言(5)手作りを楽しむ男性が増える
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 お料理をする男性は本当に増えてきました。その背景には、ネットで手軽にレシピなどの情報を得ることが可能になった、という情報環境の変化があるのではないでしょうか。キチンと情報を得ることができれば、質の高い作品をつくることが可能となるため、男性の手作り志向が料理以外にも広がるのではないかと考えられます。

 今までは女性が主だった手芸、裁縫や陶芸などはもちろん、3Dプリンターの普及やメイカームーブメントによって環境が整う中、様々なモノを自分の手作りで行う男性が増えてきそうです。現に組み立て式のEVや自転車などが人気になりそうな気配です。


To Be Continued...

と、いうことで、続きは次回に、残りの予言は15個...

*データは「ぺるそね」調べ。2012年6月 n=31,444
*「クラウド型消費者分析ツール ぺるそね」は30,000人の150問にわたるアンケートをデータベース化し、あらゆる角度から分析できるサービスです。利用料金は3,500円〜と手軽にお使いいただけます。
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