「スピーチはニガテ」 じゃもったいない! 気持ちは必ず伝わります
こんにちは!走る社長、貫洞(かんどう)です。とうとう9月になりましたね。一年も3分の2が終わったと思うと、早いなぁと思います。
さて、最近ではスタッフと一緒に講演会やセミナーに出席する機会が増えています。スタッフによっては、講演会やセミナーが初めての者もおりますので、「スピーチのスキル」を学びとってもらうことも狙いの一つです。
ですので、講演会ではテーマに沿って考えるだけでなく「話し方」「どういうタイミングで笑いを取っているか」「立ち振る舞い」にも意識を向けながら参加しています。 (気付いたら引き込まれてしまっていることがほとんどですが)
私自身も「澱みなく話し、聞き手を引き込み、狙ったところで笑いが取れる話し方ができる人」になれたらいいなといつも思っています。
プロの講師として人前に立つことに慣れている方の講演やスピーチは、参加者の緊張をやわらげてくれ、かつその日のテーマにスッと入りこませてくれます。楽しくて本気で笑ってしまうこともよくあります。言葉ひとつで空気をコロッと変えるその話術には「さすがだなぁ!」 と感動を覚えます。
では、「人前で話すのがうまい人」が人間として魅力的なのかというと、それだけではないと考えています。話術やテクニックは磨けますが最後に伝わるのはその人の人間性、いわゆる「人柄」です。 (前述した講師の方々は、テクニックと人柄の両方を併せ持った方々でした)
以下のエピソードは、ビジネスとは離れますが、スピーチの本質を突いていると思うので紹介します。
ある映画の初日舞台挨拶に行った時のことです。映画を観終えてからの舞台挨拶でしたので、観客は映画の感動を引きずった状態で舞台挨拶が始まりました。司会の方1人と演者の方が6人壇上に上がり、それぞれに作品に対する思いなどを語っていきました。そこで、ある演者の方が演技中とはうって変わって、言葉を一生懸命紡ぐように話し始めたのです。
「あの...言葉では...言葉ではなかなか言い表せないのですが...。(間)本当に...」
観客の注目も壇上の司会者の視線も演者の女性に集まりました。短い沈黙の時間でしたが、映画の感動を再度揺り起こされた観客の中には、涙していた人もいました。私もその一人です。
「本当に...ありがとうございます。何度でも観てもらいたい作品です」
特別な言葉は一つもありませんでした。演者ならではの現場エピソードを語って笑いを取ったわけでもなく、何の作為もない、なのにその演者の女性の舞台挨拶は、観客の感情を揺さぶりました。「作品を心から愛していること」 と 「来てくれてありがとう」 という気持ちがギュッとつまった、心が伝わる言葉だったからです。人と人は言葉だけで話すのではなくて、「心を伝える」 ことが大事なのだと感じました。
今の例は少々極端でしたが、「心で話す」「伝える」というのは文化芸能に限った話ではないと思います。ビジネスの場であっても、上手に話すだけではなくその人の持っている「真実」が伝わるように話す。そうすることによって真剣さや真面目さ、几帳面さなどの良いところが伝わります。その逆で、うわべだけの言葉でスラスラと商品説明だけを行っても、全く聞いてもらえないでしょう。お客様は、商品説明の前に、セールスパーソンの人柄を感じたいのですから。
「スピーチはニガテ」「人前で話すことはニガテ」と思っている方には、うまく話そうとしなくても良いから「伝えたいこと、気持ち」 を紡ぐだけでも、人の心を動かすことができるという事実を伝えたいです。話術は後からついてくることがほとんどです。「ニガテだから話さない」のは本当にもったいないです。伝えたい気持ちをどうか、忘れないで欲しいです。
商談の場であっても、人前で話す場でも、「心をこめて話すこと」を常に忘れなければ、きっと伝わります。わたしも早速、明日からの営業では「ありのままの真実の自分」で、不器用でもいいからお客様と商品に心をしっかりこめて話してみようと思います。