紹介で採用して解雇する辛さ1
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何らかの理由があって従業員をクビにしなければならない場合は、経営者として非常に辛い仕事でした。
その中でも、かなり気が重い状況があります。
一つは、従業員以外の誰かの紹介で雇用した場合です。
従業員の縁故紹介で入社した人材は、同じ職場で仕事をしていますので、たとえクビにするとなっても変に気を遣うことはありません。
でも、そうでない場合は紹介者にも告げなければなりませんので、単純に倍の気苦労が発生します。
理論上は2倍になるかも知れませんが、実際はそれ以上に気を遣うことになります。(笑)
その一例を挙げてみます。
2社の工場で元請けとしてコンクリート製品製造の仕事をしていた時、1社の若い社員から「仕事を探している人がいるんですけど」と言われました。
その時は、それほど人材は不足していませんでしたが、良い人材がいるなら採用したいと思い、話を聞きました。
その仕事を探している人とは、その社員の彼女だったのです。
私の会社に入社する人材は、ほとんどが若い未経験者で右も左もわからないような状態なのですが、短期間で仕事を覚えて一人前になっていきました。
その社員は、その状況を目の当たりにしていましたので、ぜひともお願いしたいということだったのです。
コンクリート製品製造の仕事といえば、バリバリの「3K」ですので、男ばかりと思われるかも知れませんが、若い女性従業員も何人かいました。
型枠を組んだり打設をしたりする力仕事はできませんが、製品の補修は問題なくできますので、何人かが活躍していたのです。
そこで、「自分の彼女を雇ってください」と言われたのですが、その話を聞いた瞬間に、どうしようか考えていました。
「自分の彼女」と聞いたら、なおさら迷いが生じました。
まず、その若い社員は採用したいと思えるタイプではありませんでした。
話をするのは何の問題もありませんが、それほど仕事ができる人ではありませんので、仮に志望されたとしても、不採用にする可能性が高かったのです・・・。
その彼女となると、同じようなタイプの可能性が高くなります。
また、あまり仕事ができないとか、問題が起こった時などは、やっかいなことになることも頭をよぎりました。
それで話を聞いている途中で、いろんなことを考えていたのですが、結果的に採用することになりました。
実際は仕事ができる人材かも知れませんし、ハードな仕事状況も目にしていますので、その上で志望するということは、頑張って仕事をするだろうと考えたのです。
まあ、不安を無理やりプラス思考で打ち消したような結果ですが。(笑)
勤務地はもう1社の工場になりますので、現場で専務が面接をして、採用することになりました。
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