【図解】コレ1枚でわかるAIモデル
AIのモデル(model)とは、現実世界のデータ(画像、テキスト、数値など)から、重要なパターンや規則、法則を学び出し、それを数学的な形で表現した「縮小版の現実世界」です。これは、現実世界の現象やデータを効率的に捉えており、未知の問題に対して最適な答えを推測するための計算式とも言えます。ここでは、具体的な例として「画像認識のモデル」と「大規模な基盤モデル」を取り上げ、両者の特徴と違いを交えながら詳しく解説します。
基本概念:現実世界の縮小版としてのモデル
学習/訓練:
現実世界についての写真、文章、数値など様々な種類のデータを取得します。AIは、これらのデータを大量に取り込み、共通するパターンや法則、特徴を抽出するための学習を行います。このプロセスにより、現実世界の「エッセンス」が数学的な表現(モデル)としてまとめられます。
縮小版の現実:
作成されたモデルは、元の複雑な現実世界の情報を、よりシンプルかつ効率的に表現した「縮小版」となります。つまり、すべての細部を再現するのではなく、最も重要な部分だけを捉えているのです。
計算式としての役割:
この数学的な表現により、未知のデータや新たな問いに対して、最適な答えや予測を導き出すことが可能になります。例えば、画像認識モデルなら、与えられた画像が何を表しているのかを判断し、分類することができます。
事例:画像認識のモデル
専門性と特化性:
画像認識のモデルは、主に写真や画像データに特化して設計されています。犬や猫、車といった具体的な対象を識別するために、視覚的な特徴(形、色、パターンなど)を学習し、その情報に基づいて「これは猫です」「これは犬です」といった判断を行います。
タスクへの最適化:
このモデルは、画像の内容を認識し分類するタスクに最適化されており、特定の分野において高い精度を発揮します。しかし、画像以外の情報(例えばテキストや音声)には直接対応できない点が特徴です。
ここでは、「画像認識」を例に採り上げましたが、音声認識、文字認識、囲碁や将棋など、特定のタスクに特化したモデルも同様です。
事例:大規模な基盤モデル
汎用性と多様なデータ対応:
Chat GPTやGeminiなどの生成AIで使われている大規模なモデルは、「基盤モデル(ファウンデーションモデル/foundation model)」と呼ばれ、画像認識に限らず、テキスト、音声、動画など複数の種類のデータを同時に学習することで、幅広いタスクに対応できる柔軟性を持っています。これにより、翻訳、要約、質問応答、さらには画像生成など、複数の応用分野に利用されています。
大規模なデータセットと一般的知識の獲得:
基盤モデルは、非常に大規模で多様なデータから学習するため、特定の領域に限定されない広範な知識やパターンを獲得します。そのため、後から特定のタスクに対して微調整(ファインチューニング)することで、より専門的な応用も可能です。
前節で解説した「特定のタスクに特化したモデル」とは異なり、大規模かつ多様なデータ形式で学習することで、1つのモデルを多様なタスクに使えるようにしています。いろいろなタスクをこなす「基盤となる」モデルということから、この名称が付けられました。
両者の違いと役割
専門性 vs. 汎用性:
画像認識モデルは、特定の分野(画像)に焦点を当て、その領域での精度と効率性を追求しています。対して、基盤モデルは複数のデータ形式に対応できる汎用性を持っており、多方面のタスクに柔軟に適応できるオールラウンダー的な存在です。
学習データの規模と多様性:
画像認識モデルは、主に特定の画像データセットから学習するのに対し、基盤モデルは膨大かつ多様なデータセットを用いて学習します。この違いが、両者の応用範囲やパフォーマンスに大きく影響します。
応用範囲:
専門モデルは、特定の問題に対して最適化されているため、その領域で非常に高いパフォーマンスを発揮しますが、応用できる分野は限定されます。一方、基盤モデルは、さまざまな問題に対する土台として利用でき、必要に応じてさらに細分化・専門化されたモデルに変換することが可能です。
まとめ
AIのモデルは、現実世界のデータを学習し、その中から最も重要な情報を抽出して、現実世界を簡略化した数学的な「縮小版」です。
画像認識モデルなどの特化型のモデルは、特定の情報(画像認識の場合は画像)に特化しており、特定のタスク(例えば、画像内の対象物の識別・分類)に優れています。
大規模な基盤モデルは、複数のデータ形式に対応し、幅広いタスクに応用可能な柔軟性を持ち、後から特定タスクへの最適化が行える点で、より汎用的な役割を果たします。
このように、どちらもAIが「モデル=現実世界の縮小版」を使って「現実世界についての問いに答える」という基本的な考え方を理解することで、AIの仕組みをより明確に捉えることができるでしょう。
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