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デジタル・リテラシー研修やDX研修の2つのカタチ

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昨日も述べたとおり、研修の目的は、受講者が行動変容するきっかけを提供することにあります。そのためには、まずは、どのような「あるべき姿」を目指すのかを明確にすることから始めなくてはなりません。何を教えるかは、手段であって目的ではありません。目的は、「あるべき姿」の実現です。

デジタル・リテラシー研修やDX研修は、そんな自分たちの「あるべき姿」についての理解を深め、そこに至るスキルや方法、つまり手段を習得させることにあります。

ところが現実には、いかなる「あるべき姿」を目指すのかを定めないままに、AIやローコード・ツールなどのスキルや方法、つまり手段に終始していることが多いように見えます。

手段のための研修も実務に於いては役に立ちますし、こういうツールに慣れ親しむことで、デジタルについての感性が磨かれてゆくことには意味があります。ただ、それだけでは、企業変革はできません。

DXとは何かについては、諸説語られていますが、DXについての歴史的系譜をたどれば、次のようになるでしょう。

「デジタル前提の社会に適応し、存続するために会社を作り変えること」

デジタルの適用範囲は、かつてなく拡がっています。日常はスマートフォンに支配され、情報はAIが選別し、仕事もまたITを介して行われています。そんなデジタル前提の世の中になったにもかかわらず、昭和でアナログな仕事のやり方をそのままに、手段だけをデジタルに置き換えたところで、得られる成果は限定的です。また、デジタル・ネイティブ達が、競争のルールを変えてしまい、かつての成功体験に縛られたやり方では、競争に参加することさえできません。

そこで、デジタル前提の世の中に合わせて、事業や会社の仕組みを再定義し、作り変えることで、ビッグテックやデジタル・ネイティブと互角に戦い、自分たちの事業の継続や企業の存続を目指そうというのが、DXです。

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このような取り組みを進めるには。2つの人的要件を満たす必要があります。ひとつは、全社員がデジタルの常識やビジネスにどのような変化を強いるかについて理解し、変革の必要性に納得して、同じ方向を向くことです。何か始めようとしたとき、その必要性や意義をその都度、説明、説得しなくても、直ぐに理解でき、一緒に取り組んでくれる環境を整えることです。そうなれば、変革は加速できます。

もうひとつは、変革を推進するリーダーを育てることです。現実問題として、誰もがリーダーになれるわけではありません。だからこそ、リーダーを選抜し、彼らに実践スキルを習得させることが必要です。

そんな彼らに求められるのは、クラウドが使えるとか、プログラムが書けるとか、システムが開発できるということではありません。ビジネスの課題を見出し、それを解決する手段をデザインし、その実践をリードし、現場の実践を伴走できる人材です。

また、AIやデータサイエンス、ローコード開発ツール、クラウドサービスなどの実務や役立つスキルを身につける研修も必要となるでしょう。最新の技術を使いこなせば、仕事の効率や質の向上を果たせるからです。

デジタル・リテラシー研修やDX研修をこのように捉えてみるのはいかがでしょうか。変革を起こし、これを実践するには、相応の時間がかかります。この時間を走り続けるためには、人材の「あるべき姿」をこのように捉え、研修をデザインし、継続的に取り組んでいくべきではないかと考えています。

ただ、何よりも、経営者が自分たちの於かれている状況を先入観無しに、勇気を持って受けとめ、自社の「あるべき姿」をできるだけ具体的に社員に示すことです。全社員が同じ方向を向かなければ、研修だけ頑張っても、現場の実践での使い道もありません。研修は、この前提があってこそ、成果に結びつきます。

【募集開始】次期・ITソリューション塾・第44

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次期・ITソリューション塾・第442023104日[水]開講)の募集を始めました。

ChatGPTをはじめとした生成AIの登場により、1年も経たずにで、IT界隈の常識が一気に塗り替えられました。インターネットやスマートフォンの登場により、私たちの日常が大きく変わってしまったことに匹敵する、大きな変化の波が押し寄せています。ブロックチェーンやWeb3、メタバースといったテクノロジーと相まって、いま社会は大きな転換点を迎えています。

ITに関わる仕事をしているならば、このような変化の本質を正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様の事業活動に、どのように使っていけばいいのかを語れなくてはなりません。

ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、その背景や本質、ビジネスとの関係をわかりやすく解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。

  • SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
  • ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
  • デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
  • IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
  • デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん

以上のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。

詳しくはこちらをご覧下さい。

  • 期間:2023年10月4日(水)〜最終回12月13日(水) 全10回+特別補講
  • 時間:毎週(水曜日)18:30-20:30 の2時間
  • 方法:オンライン(Zoom)
  • 費用:90,000円(税込み99,000円)
  • 内容:
    • デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
    • IT利用のあり方を変えるクラウド・コンピューティング
    • これからのビジネス基盤となるIoTと5G
    • 人間との新たな役割分担を模索するAI
    • おさえておきたい注目のテクノロジー
    • 変化に俊敏に対処するための開発と運用
    • アジャイルの実践とアジャイルワーク
    • クラウド/DevOps戦略の実践
    • 経営のためのセキュリティの基礎と本質
    • 総括・これからのITビジネス戦略
    • 特別補講 *講師選任中*

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【図解】コレ一枚でわかる最新ITトレンド 改装新訂4版

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2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1

目次

  • 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
  • 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
  • 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
  • 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
  • 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
  • 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
  • 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
  • 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
  • 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
  • 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー

神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO

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八ヶ岳南麓・山梨県北杜市大泉町、標高1000mの広葉樹の森の中にコワーキングプレイスがオープンしました。WiFiや電源、文房具類など、働くための機材や備品、お茶やコーヒー、お茶菓子などを用意してお待ちしています。

8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。

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