「なるほど、よく分かりました」と言わせたいが、自分を鍛えてくれる
「なるほど、よく分かりました。」
そう言ってもらいたい。ただその一心だった。
昨日、ある企業で「ブロックチェーン」について講義をした。ブロックチェーンとは何か、これまでの常識をどのように変えてしまうのか、どのようなビジネスの可能性があるのかといった解説だ。
このご依頼を頂いたとき、「ゲゲっ、どうしよう」というのが本音だった。もちろんブロックチェーンという言葉は知っていた。ネットの記事や本も何冊か読んでいたので、どういうものかは理解していたつもりだ。しかし、それを2時間で素人にも分かるように講義しろと言うことになると話が違う。だから、「ゲゲっ」なのだ。
しかし、チャンスだとも思った。自分の曖昧を解消できるし、人に伝えられるレベルになれば、「使える知識」にもなり、メシの種にもなる。「一丁やったるか!」と笑顔で快諾した(但し、心の中はドキドキだった)。
これまで読んだ何冊かの本を改めて読み直した。そして、使えそうな表現をメモし、自分に説明するためのチャートも描いてみた。しかし、調べれば調べるほど難解だ。そもそも、自分には数学やコンピューター・サイエンスの基礎があまりない。プログラムを書いていたのは大学時代までだ。そんな頭に、ハッシュ関数、公開暗号鍵、ナンスなどなどの言葉が飛び込んでくる。自分が「分かる」ですますのならば、「なんとなく分かったつもり」でいいが、「他人に分かるように説明する」となると、そんなわけにはいかない。あらためて、暗号理論の資料や本を開いて勉強をし直すことにした。
そんなこんなで、「なるほど、こんな仕組みだったのか」ということが、分かってきた。もう知っていたつもりでいたことも、なんと曖昧な理解だったのかに改めて気付かされた。
さて、今度はこれをプレゼンテーションにしなければならない。あらためて殴り書きしたメモを眺め、プレゼンテーションの下書きを作ってゆく。
- 「どういうストーリーにすれば、すんなり分かってもらえるだろうか」
- 「この絵で正しく説明しているだろうか」
- 「伝えたいことをわかりやすく伝えるチャートになっているだろうか」
そんなことを自問自答しながら、34ページのプレゼンテーションを創りあげた。「ふぅ〜」である。自分がにやけ顔をしているのが分かった。
さて、講義である。冒頭、受講者に次のように言い訳をした。
「ブロックチェーンは、まだまだ過渡期の技術であり、具体的な適用もすすんでいません。何に使えるさえも模索中です。そんな技術を説明するのはとても難しい。」
事前にそんな防護策を張る。うまく説明できないのは私の力不足ではなく、そんな中途半端な技術なので仕方がない。十分に理解できなくても諦めてくださいね。
卑屈である。それは分かっているが、まったく新しいテーマであって、そんな自信のなさが、ぽろりと出てしまった。思い返すと恥ずかしい限りだ。
さて、プレゼンテーションはどうだったかというと、そこはいつもの通り、堂々と自信ありげに(知ったかぶりで)説明をする。そういう演出には自信があり、ごまかすテクニックも心得ている。
最初の言い訳が効いたのかもしれないが、受講者も「理解しよう」と努力してくれた。作戦か成功である。
話しながらチャートの誤りに気付く。あとで直しておこう。こんな表現にすれば、もっと分かりやすかったのではないか。こんなチャートをもう1枚作ったほうがよさそうだなぁ。そんな反省をしながらのプレゼンテーションだったが、なんとか時間を持たすことができた。
いゃぁ、楽しかった。勉強になった。こうやって新しいテーマについて「分かってもらえるだろうか」を自問自答しながらの資料作り、そしてプレゼンテーションは、本当にいい勉強になる。
改めて思う。アウトプットのためのインプットがどれほど自分を鍛えてくれるかと。
さあ、次は何にしようか?実はもうその難敵にはターゲットを定めている。ただなぁ、また大変なことになるなぁ。
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