【図解】コレ1枚でわかるERPシステム
ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業経営の基本となる資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を会社全体で一元的に把握し、それを適切に分配して有効活用する計画手法であり、その計画を重視する経営手法のことです。このERP経営を実現するための情報システムが、ERPシステムです。
業務個別に作られた情報システムは、それぞれ、台帳や帳票を収めたマスターファイルと業務処理を行うためのプログラムで構成されています。このようなシステムの場合、個々の業務処理には最適化されていますが、他の業務間の連係がうまく行えなかったり、似たような業務を重複して行っていたり、データの不整合や二重入力といった弊害が増えたりと、いろいろな問題を抱えることになります。例えば、「顧客情報」は、お客様の購買情報を管理し、販促キャンペーンでチラシを郵送するために販売システムで使われます。また、お客様に荷物を輸送する必要がある場合は、物流システムにも必要ですし、請求書を発行し、入金を確認するためには、会計システムでも使われます。しかし、マスターファイルが、個別に管理されていると、顧客情報が変更されたり、商品を販売したことで情報が更新されたりした場合、関係する全てのデータを書き換えなくてはなりません。また、ある業務システムのプログラムが修正された場合、影響をうける他の業務システムのプログラムを洗い出し、それを修正しなくてはなりません。
一方、ERPシステムは、会社全体で統合化されたマスター・データベースを用意します。全ての業務処理は、この統合化されたデータベースを使用します。そのため、データの一貫性は保証され、データの不整合や二重入力の手間はかかりません。また、データ相互の関連は、業務の流れ(ワークフロー)と一体となってデータベースに格納されますので、業務プロセス全体の整合性も保証されます。
さらに、データが全て一元的管理され、常に最新の状態に保たれていることから、会社全体の動きや状況をリアルタイムで捉えることができます。
ただ、このようなERPシステムを構築するためには、既に業務毎に個別最適化された業務プロセスを見直し、会社全体で最適化された業務プロセスに再構築しなければなりません。このような取り組みをBPR(Business Process Re-engineering)と言います。また、個別に作られたマスターファイルを整理し、統一のデータベースに作り直さなければなりません。
既に個々の業務の現場に最適化されたシステムが稼働し、それに馴れている人たちからは、抵抗されることも少なくありません。会社全体が抱える課題や現状についての危機感を正しく共有し、経営トップの強力なリーダーシップの元に取り組まなければ、実効性のあるERPシステムを構築することは、困難と言えるでしょう。
【最新版】最新のITトレンドとビジネス戦略【2015年5月版】
「最新のITトレンドとビジネス戦略(全326ページ)」を最新版に更新しました。新規追加のプレゼンテーションは6枚ですが、新しい解説文を24ページ追加し、全てロイヤリティ・フリーとさせて頂きました。ご活用下さい。
テクノロジー編【2015年5月版】(271ページ)
新規ページを6ページ、最新の解説文を24ページ追加しています。
・これからのオフィスインフラを追加しました。
・パブリッククラウドの適用リスクを追加いたしました。
・コレ一枚でわかるIoTとビッグデータを改訂しました。
・IoTとモノのサービス化を追加しました。
・産業革命の歴史を追加しました。
・プレゼンテーション(24ページ)の「ノート」に最新の解説文を追加致しました。こちらも合わせてロイヤリティフリーでご活用下さい。
ビジネス戦略編【2015年5月版】(55ページ)
新規追加はありません。誤字脱字の修正、解説文の訂正を行いました。
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目次
- 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン