ガンヲタエバンジェリスト的考察:SガンダムとWindows10
Windows10が無事に世界中で公開された。「こんなに嬉しいことはないっ」
まだ手元のPCにインストールしていない方がいらっしゃれば是非アップグレードすることをお勧めしたい。
現在お使いのOSがWindows8.1/8でもWindows7でも(状況によりそれ以前でも)使いやすさは大幅に向上している。
Azureの鼓動としてこのWindows10をどのように紹介すべきかかなり悩んが(最近わりと正当派の復権による見えない圧力がけっこうしんどい)、うってつけの機体設定を思いついた。
MSA-011 「Sガンダム」である。(イメージわかない人も多いと思うのでExVSのプレイ動画を引用させていただいた)
Sガンダムはアナハイムエレクトロニクスが開発したガンダムタイプのモビルスーツを核とする兵器体系で、完成形のEx-Sガンダムでは多くの追加装備を擁するハイスペックな機体となっている。ゼータガンダムやνガンダムなど歴代のアナハイムエレクトロニクス製ガンダムはコード名にギリシャ文字を冠しており、10番目の機体としてZZガンダムと呼ばれることになるθ(シータ)ガンダムとι(イオタ)ガンダムが計画されていた。ιガンダムは後にS(スペリオル)ガンダムとして建造され、ティターンズ崩壊後の戦闘に投入されてる。
Windows10を、一般の方にはさほど知名度も高くないであろうSガンダムに見立てているのはコード名のギリシャ文字や型式番号が10番目ということだけではない。その特長や出自が似通っているためである。
最大の共通点は、Sガンダムに搭載されている人工知能「ARICE」を彷彿とさせるCortanaの存在である。ALICEはモビルスーツ操縦の自動化、無人化を目的とした研究で、Wikipediaによると下記の背景を持つ。
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「ALICE」とは、「Advanced Logistic&In-consequence Cognizing Equipment = 論理・非論理認識装置」の頭文字をとって名づけられた。その名が示すように論理では説明ができない不可思議な感情をパイロットから学習することで、戦闘の状況を自律的に判断する能力を獲得し、最終的には本機の複雑な機体システムを単独で完全に制御する能力を持つよう設計されている。さらには一定レベルの人格すら備えていたが、稼働には大容量のコンピュータシステムが必要であり、機体が分離した状態では機能しない。
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Cortanaを説明する際、iOSでいうSiriのようなもの、と音声認識、音声合成部分のみを注目されがちではあるのだが、その実態は強大なコンピューティングリソースにより支えられている機械学習アルゴリズムの集合体である。Cortanaはネットから収集できる一般知識はBingの仕組みを利用しつつ、Exchangeをはじめとする社内システムと密に連携し、ユーザーにパーソナライズされた「できる秘書」である。日本語版は目下開発中ではあるが、Cortanaといち早く対話してみたいという方はMSDNなどからイメージを入手の上、英語版のWindows10をインストールして試してみていただきたい(Region変更やLanguage Packでは対応不可)。また、上記ALICEの説明にある「論理では説明ができない不可思議な感情をパイロットから学習する」という点は重要だ。Cortanaはネットや社内システムにある情報、ユーザーとの対話を元に、日々進化し続ける。日本語版が提供されるようになった暁には、是非Cortanaと仲良くしてやっていただきたい。
SガンダムとWindows10の共通点はCortanaとALICEだけではない。Sガンダムの設計コンセプト自体がWindows10の重要な位置づけを表している。Windows「10」と番号を銘打ってはいるものの、今後WindowsはWindows As A Serviceとして最新版を常に提供してアップグレードし続けることになる。長きにわたるWindows Insider Program期間を経て7月29日に正式版の提供を開始しているが、これはSガンダムの中核となるGコアにA/Bパーツが追加されてようやく素体のモビルスーツとして実践ロールアウトされたようなものである。以降、Ex-SガンダムおよびGクルーザー形態用の強力な各種追加装備が提供されてゆくことになる。ニュータイプでなくともオールレンジ攻撃を可能にするインコムやリフレクターインコム、それをサポートし最適化する人工知能ALICE、超長距離からの正確な射撃を可能にするビームスマートガンとそれを支える高性能ディスク・レドームとセンサーアレイ、モビルスーツサイズへの小型化が難しいiフィールドなど、初期にSガンダムがロールアウトされたタイミングでは搭載されていなかった各種兵装が追加され、完成度の高い機体になってゆくのである。
今回日本語版のWindows10の提供を開始したタイミングでは、日本語を話す「コルタナさん」も、新しいユーザーエクスペリエンスをもたらすとしてWindows10と共に発表したHoloLenseも、AndroidアプリをAPKさえあればWindowsアプリに変換できるProject Astoriaも、Windows Universal Appとしてアプリを開発すればPCでもスマホでも動くといいながら肝心なWindows Phone向けのWindows 10 Mobileも提供されていない。顔認証でログオンできるWindows HelloでさえRealSense対応のカメラが搭載されたPCが普及するまで一部指紋認証対応デバイスをのぞきその便利さを体感するのは困難である。
とはいえ、あれがない、これがないと不平不満を言い、最新OSがもたらすユーザーエクスペリエンスの機会を逃すのはもったいない。まずは無償アップグレード期間内に手元の環境をWindows10にアップグレードした上で、今後もたらされる新機能を楽しみにしていただきたい。皆様が不具合や不便な状況に遭遇した場合には、是非とも建設的なフィードバックをいただけると幸いだ。もちろん、会社のドメインに参加している会社支給PCを勝手にアップグレードするわけにはいかないという方々も多いだろう。PC管理者の方々には、社内全体のアップデートに先駆け、まずは個人PCをWindows10環境にしてみてはいかがだろうか?情報システム部の皆様には、ユーザーの要望を受けて後手後手の対応になるのではなく、社内向けに新しいPCの使い方や生産性の高い仕事のやり方を啓蒙するエバンジェリストであって欲しい。
そして、特に、開発者の皆様に伝えたい。
ないものはつくればいい。
Visual Studio 2015(OSS/小規模開発用のCommunity版は無償) と Visual Studio Tools for Windows 10 の環境があれば生産性高く必要なアプリを自分で創り出すことができる。開発ツールの進化やテンプレートの提供によりこれまでアプリ開発などしたことなかったという方にも、簡単に試していただける環境が整っている。盲目的にMac Book一択だった方にWindowsの開発環境を体感していただくには、今回のタイミングはうってつけである。
同じく、自作PC派の皆様にも。
デバイスドライバの問題などしばらく誰かががんばらないといけない状況が続くと思われるが、新しいOSが出る度に果敢に挑戦してくれる多くの仲間がいてくれることは何にも増して心強い。そんなみなさまへの感謝の気持ちも込めて、毎度おなじみ秋葉原でのDSP版発売イベントを敢行することとなり、私も微力ながらお手伝いさせていただく予定である。お時間のある方は、週末一緒に盛り上がっていただけるとありがたい。
Windows10だけでなく、変革後のマイクロソフトが目指しているのは一貫して、必要だから、便利だからつかうソフトウェアやサービスではなく、ユーザーや開発者、マイクロソフトを支えてくれているエコシステムのみなさまに心から愛されるテクノロジーである。
マイクロソフトが掲げる新しいミッションは"Empower every people and every organization on the planet to achieve more"。多くの装備を継続的に追加しながら一騎当千の性能を誇るSガンダムのような存在を目指し、Windows10の継続的な進化と、Windows10を選んでいただけたユーザーの皆様が個人および組織として"achive more"な環境を、皆様と一緒に作り出してゆけることを切に願う。
Windows10 へのアップグレードはこちらから。