クラウドポータルとは何か(その1)
明けましておめでとうございます。
去年に続き、今年もクラウドビジネスが盛り上がる一年になりますよう、お祈り申し上げます。
しばらく間が空きましたが、クラウドサービスの重要なコンポーネントとなる、クラウドポータルについて論じます。
クラウドポータルとは何か?
名の通り、クラウドサービスを提供するポータルサイトの事を指します。
Yahoo!やGoogleのように、企業としてユーザに提供する様々なサービスの入り口としての役割を持つポータルサイト。
クラウドポータルはIaaSを提供する入り口としての役割をもつサイトの事を指します。
Amazon Web Serviceのクラウドポータルサイトの入り口はここ。
http://aws.amazon.com/
Rackspace Hostingのクラウドポータルサイトはここ。
http://www.rackspacecloud.com/index.php
SoftLayer社のクラウドポータルはここ
http://www.softlayer.com/cloudlayer/build-your-own-cloud/
GoGrid社のクラウドポータルはここ
http://www.gogrid.com/?Camp=GG%20NA%20Brands&kw=gogrid&gclid=CLzD9-HDhaYCFR9NgwoddiY5mw
見ての通り、まさに各社が提供するクラウドサービスの入り口となるサイトです。
これらのクラウドポータルサイトを利用する事によって、特に日本市場で現在提供されているクラウドサービスと比較して、大きく異なる点は次の通りです。
1)クラウドサービスを受けるためのプロセスが人間を介さず、ほぼすべてが自動化されている事。
2)ユーザが参加できるコミュニティの形成に力を入れている事。
3)技術サポートを提供するオンラインヘルプが非常に充実している。
こういった違いがどういう所からうまれているのか、少し分析してみたいと思います。
一つには、こういったIaaSサービスの提供に対して、技術的な角度からメリットを説明するのではなく、企業のITソリューションの角度、特にビジネスソリューションの角度(具体的にはコスト削減と時間短縮)から説明をしており、ターゲットを企業のIT部門ではなく、企業内のITユーザに完全に照準を置いている、という事です。北米では、AWSのエンタプライズでの利用者が急増している、とされているが、大企業の各部門単位での利用から始まり、段々と企業内に広がり、最終的に企業全体としてのAWSの利用ポリシーがIT管理側で後付で決まっていく、というパターンが多い、との事です。AWSがそもそも狙っているのは、大企業の基幹業務ではなく、各部門で使われる情報系のアプリ、特定の業務アプリケーションのクラウド化であるため。
各部門のユーザの立場としては、技術的な優位性よりかは、自分たちの業務を如何早く、安く達成できるかどうかが重要課題であるため、クラウド提供側からのメッセージも自然とそういう内容になっていく、という理屈です。
もう一つは、こういった部門毎のユーザを如何に引きつけておくか、という事です。理解しやすい顧客サポートインタフェース、ユーザが積極的に参画できるユーザフォーラムやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の提供、等ユーザからのフィードバックを背局的に収集できる仕組みを提供する事です。これによって、常にユーザのニーズを把握する事が容易になり、そのニーズに応えるための動きを迅速に図れる、というわけである。サービスである以上、常にユーザの求めている事にアンテナを張り、『活きているサイト』というイメージをユーザに植え付ける事が重要でる、と言えます。
クラウドポータルを構築する上では、これらのサービスを、如何に自動化するか、という要件です。
北米のほとんどのクラウドサービス事業社は、自分のクラウドサービスの通常の運営を、ほとんど人手をかけずに運用している、というのが現状です。様々な自動化ツールの採用、トラブルシュート等の技術サポートについてはサイト上のFAQの充実、フォーラム等の運営等を通して、サービス提供側から人間が登場しなくても大方のサポートが提供されるシステム構造を持つためです。
ここまでくると、クラウドポータルというもの、単なるWebサイトではなく、ユーザシステムとしてはかなり高度なものとして捉える必要が出てくる、という事がいえるます。
さて、ポイントは、どれだけ高度なものにすべきか、という点であります。
一寸長くなってしまいましたので、続きは次回に。