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商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

若者たち、海外に雄飛せよ その8 海外滞在語学上達の秘訣 入門編

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若者たち、海外に雄飛せよ その8 海外滞在語学上達の秘訣 入門編

 

私の提案の、現地での語学上達の秘訣12箇条がこれだ。(入門編)

 

   感謝言葉、挨拶言葉、自己紹介言葉、トイレ探し言葉は現地に到着するまでに覚えておく

   その国の言葉で、何か有名な、その国の人なら、誰でも知っているような詩(たとえば日本なら平家物語の最初の10行のようなもの)、歌の一つでも、練習して歌えるようにして現地に出発しよう。

③ よく聞くこと(語学は耳から)

④ 授業は録音(録画)すること。録音(録画)したものは、その日に何度か聞き直し(見直し)すること

⑤ 何度も書きながら、丸暗記してしまうこと

⑥ 暗記したら即使うこと

⑦ まわりをすべて先生にすること。誰とでも話すこと

⑧ ただしく発音できれば、何度も書いて固めること

⑨ 語学以外のその国の文化を楽しむこと

⑩ 名刺を作っておくこと。コピー用紙でかまわないから、自分の名前とメールアドレス、スカイプの名前だけの名刺を作っておくこと。電話と住所はもはや不要。

⑪ 私の考案した空の名刺(写真参照 "あなたの名刺"という名称)を作って、(海外じゃ、名刺を持たない人が多いので)、出会ったすてきな人の名前とメルアド(できればスカイプの名前も)をもらうこと。

⑫ 何か日本の100均でもよいので、小さなプレゼントをたくさん用意すると良い。言葉の練習につきあってくれればお礼をしておこう。付き合いが長持ちする。

 

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 まずは「ありがとう」を言うことから始まる。英語ならThank you.だけではない。言い方は一杯ある。それから始まって、朝昼晩の挨拶、トイレの在処、自己紹介。これらは現地に到着する前に、何語であれ、言えるようにしておこう。マイナーな言葉を学ぶなら、その日本にあるその国からの人がやっている料理店へ行こう。

 1999年にネパール・カトマンドゥに赴任する前に、東京のネパールレストランへ行って、「当時の」ネパールの国歌をICレコーダーに入れて、丸暗記して歌えるようにしていった。顧客に招待された時に、歌ったら、酒の消費が3倍になるほどウケた。こっちも酔った。

 ベトナムに赴任する前には、キム・バン・キュウの物語の導入部の1頁を覚えて行った。これもすごい反響だった。

 

 どんな言葉も耳から学ぶこと。現地で言葉を学ぶなら、まずは先生の発音を数十回でも聞くこと。

 これには日本からICレコーダーを持参するのが良いだろう。長い海外生活では、カセットテープレコーダーから、ICレコーダーまで、常に先生の声を録音して聞いてきた。今はリニアPCMICレコーダーがある。迫真の録音状態だ。

 これをそっと教室の机に置いて、録音すると良い。もちろんビデオレコーダーで、顔も撮れればもっと良いが、先生によっては嫌がられることと、事前許可が必要になったり、長時間撮影できないこともある。

 

 ICレコーダー、ビデオレコーダーの使用の原則は、

①(私も厳密には守れなかったが、できるだけ)録音したものは、その日に聞いてしまうことだ。録音したものを、聞かないままにどんどん溜めていくと、いつかICレコーダーは満タンになり、聞けなくなる。聞くのが嫌になる。聞き終わったICレコーダーの内容は切り取って、パソコンの外付けハードディスクに蓄えておくこと。捨てる必要はない。

  として壊したり、置き忘れたりすることを防ぐ。

 私は格好が悪くても、ICレコーダーは首から掛けたり、写真のように、ズボンのベルト通しに固定できるようにしていた。だから長い海外生活でも紛失したことは一度もない。

 先生の模範会話をビデオで撮影する場合には小型3脚が要る。

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リニアPCMのICレコーダー。落とさないように、ひもの先にナスカンがついていて、ズボンに固定できる。

 

 教室外、学校外の先生をつくること。これは強力な学習手段となるし、友人獲得手段となる。独身の場合は究極のパートナー探しにもつながる。覚悟して掛かると良いだろう。課外授業を頼む相手が同姓なら別として、異性なら言葉を教えてもらうというのは、すばらしい縁の結び方になる(もちろん私は、結婚していたので、この方法は使いませんでした)。

 

 IC辞書と紙の辞書

 両方を持っていること、万一IC辞書が故障したら、紙の辞書とインターネットを使うことができる。今は、発音をしてくれるIC辞書もある。

 

 ホテルに滞在しているなら、ホテルの暇な時間に、カウンターのデュウティマネージャーと親しくなり話すなり、ドアボーイと話すなり、お掃除おばさんと話すなり、とにかく近くにいる人をできるだけ使うことだ。あるいは通りや公園に行って、誰かに話しかけること、あるいは通りで、「私は日本からきました。学生です。語学の練習のために、お話しできますか」と、こんな恥ずかしいお願いでも、あえてやる。

 

 その都市の大学に、日本語科があれば、そこにぶらりと見学にいくのだ。学ぶ需要と供給を満たすことが可能だろう。あるいは日本文化会館のようなところで、日本語を学びたいという人を探すこともできる。

 1時間日本語を教えるのと引き替えに、1時間その地の言葉を教えてもらう手もある。同じカフェーに行くなら、そこで働いている人に日常会話の先生になってもらうのも良い。

 こんな場合に、日本の身分が学生であることは非常に強い。そして大事なことは、現地でつきあいできる相手として、大学の学生たちは、すばらしい友達になれる可能性がある。また、大学生だけに知的にも、身元も、飲み屋で出会う相手よりも恵まれているはず。

 

 ネパールに駐在していた時、ネパール語を学んでいた。ある時に、ネパール南部のテライという低地にある自然公園に単独で旅をした。双発のプロペラ機での往復で、小さな空港ロビーで、飛行機の到着が3時間遅れとなった。タクシーもなく、どこにも行けない。ただただ空港のロビーで待っているだけだった。乗客が私を入れて4名(もともと16名しか乗れない飛行機だが)しかいない。空港はガラーンだった。板張りの航空会社のチェックインカウンター、小さな売店でおばさんが店番。そして、空港の玄関ドアの横に、軍の警備兵が一人カービン銃を持っている。

 さっそく、日常使っていたネパール語の会話の教科書を取り出して、まず何もしていない警備兵のところに行って、教科書を見せて、「この人の役を読んでくれ。私はこの人の役を読む」と頼んだら、顔を崩して笑い「そうか、ネパール語を学んでいるんだ。協力するよ」とロールプレイの会話の練習。

次はお店のおばさんへ行って、同じ頼みをして、会話の練習。その後は、航空会社のカウンター(ひまでした)に行って、会話を楽しみ、何もしないで待っていた他の乗客にも参加を頼み、一巡して、二巡目に警備兵のところに戻って、お店、カウンターの女性と回ったら、せっかく練習しているのに飛行機が到着してしまった。誰もが笑顔で参加してくれた。

 

ポイント

上記の秘訣をお忘れなく。麻薬、暴力団などには注意。人と話すには時と場所を選ぶこと。

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