オルタナティブ・ブログ > 読むBizワクチン ~一読すれば身に付く体験、防げる危険~ >

商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

新商品体験 私の体の中を通り抜けたカメラ カプセル内視体験記

»

新商品体験 私の体の中を通り抜けたカメラ 

カプセル内視体験記

 ある大きな新しい病院で、私は膝の痛みの診断を待っていた。
 ふっと見ると、壁にポスターが貼ってあった。小腸の内視のボランティアの募集だった。「エッ」と注意して読むと、「カプセル内視」のことだった。今まで決して見ることのできなかった小腸が見える。
 夢物語、ミクロの決死圏と思っていたカプセル内視がすでに、普通になっている。カプセル内視とは、デジカメとストロボの付いた小さなカプセルを飲みこみ、小腸の中をすべて検査できる。私はすぐにボランティアを買って出た。
 大腸の内視鏡は、1年ほど前に済ませている。胃の内視鏡は、3か月ほど前にすましている。問題は無かった。残りは胃の後の、十二指腸から小腸の中だ。
カプセルを飲む日にちが決まった。通常は、健康保険で約3万円ていど掛かるが、私の場合はボランティアの検査であることから、カプセル内視は、タダである。

ヨメサンは反対した。
「万が一、カプセルが途中で詰まったらどうするのですか」
「その万が一の、詰まるようなことがあったら、それこそ大問題の発見かもしれない」とヨメサンも説き伏せた。

 カプセル内視は、イスラエル製で、ギブン・イメージングという会社の製品だ。日本では同社とオリンパス製の2種類が出ている。1秒間に2コマずつ写真を白色LEDを使ってCMOSで撮影し、それを送信する。体の外に、受信機を貼りつけて、体内の写真を蓄える。5万回の撮影が可能になっている。
前日は夜9時までに、食事を終えて、次の日の朝、何も食べずに9時に病院に行き、カプセルが入った小箱を開けると、キラキラと小さな白色LEDが光る白いカプセルが出てきた。

DSC04021.jpg

 同時に画像の受信機のスイッチが入れられ、青い点滅がカプセルから受信中の印となった。
紙カップの水一口で、カプセルはあっさりと飲み込めた。まったくつかえることはなかった。胃は昨夜からの停食で、空っぽだ。病院の話では、胃の中には数十分滞在して、十二指腸に向かう。

DSC04020.jpg

(腰につけた受信機。手に持っているのはサンプルカプセル)

 

受信機を腹に巻いて、上着を着て、私は病院をあとにした。飲み込んだのが朝9時だった。

 2時間後に飲みものがOK。4時間後に食事がOKとなった。私は自宅で納豆ご飯を食べ、野菜のサラダを大盛食べた。
夕方4時半に、病院に戻り、受信機を外して、お終い。後は、自然分便で、カプセルが出てくるのを待つ。受信機が出たことだけは絶対に確認をしなければならない。確認できないままに、水洗に流してしまうと、レントゲンで確認をすることになるらしい。トイレの便器の中に敷く浮遊式の紙シートを貰って来た。それを便器の中に敷いて、その上に便を出すという。

 夕食も普通に食べて、腹の具合もまったく変わらなかったが、夜の9時半にお尻が少しムズムズするので、紙シートを敷いて、そろりと便を出したら、見事にピカピカ光る便が出た。とてもキレイに見えた。それを割りばしでつまんで、お風呂場で洗い、洗面所で石けんとハイタ―で殺菌した。

DSC04028.jpg

(私のお腹を通って、無事にはやぶさのように帰還したカプセル内視、白色LEDが光っている。十分殺菌済みです)

 

お腹の中に12時間半滞在した。まったく痛みも、不快感も無く、小腸の検査を終えることができた。すごい技術だ。

Comment(1)