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商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

食べ物珍体験 その3 菜食主義のマトリックス

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食べ物珍体験 その3 菜食主義のマトリックス
 ネパール人のビジネスマン親子と一緒にタイへ出張した時のことだ。
 夕食を一緒に取ることになり、レストランに入った。


「私たちは菜食主義(ネパール語でシャカハリという)ですが、樋口さんはご自由にお食べください」という。目の前に肉を見ても嫌だという菜食主義ではない。つまり肉を見ながらでは、食事をすることができないとか、する気にならないというのではない。そうでなければ、もう私も完全な菜食で進めないと、食事を一緒にできない。肉を食べる人を、ネパール語ではマンサハリという。


 メニューを見ていたら、息子が、
「私は卵は食べないのです。卵は、鳥の子供が生まれるのですから、ダメです」
「私は卵は大丈夫です」と父親。「が、ミルクはだめです」
「私はミルクはOKです。魚も食べます」と息子。
「ちょっと待ってください。息子さんは魚は食べるのですか。他にありますか」
「にんにくは食べません」と、父親。


 食べ物を注文しようとして、混乱してきた。私は紙を取り出して、縦横の線を引き、組み合わせを調べ始めた。
「ええっと、お父さんが、卵OK,で丸、ミルクだめで×。魚は?」
「魚は駄目です」と父親。「エビは少し大丈夫」
「エエッ、エビ(ネパール語でジンゲマチャという)は大丈夫なのですね。ややっこしいなあ。息子さんはエビは?」
「もちろんダメです」
「?」


 よく分からなくなってきた。菜食主義にも色々あって、魚を食べるのは、もはや菜食主義ではない。ミルクやチーズを食べる菜食主義者は多い。卵を食べない人も多い。しかし、卵を食べる菜食主義者もいる。


 極端な菜食主義となると、臭いの強い野菜、すなわちネギやニンニク、韮、玉ねぎなどを食べない人もいる。
タッカー・シャカハリとなると、臭いの強い野菜だけでなく、地下系の野菜、すなわち芋類、大根、ニンジンなども食べない。野菜の中でも、「あれだめ、これだめ」という項目が多くて、いったい何を食べるのだろうかと、霞をたべることになるという人もいる。
もっと進むと、肉類を一度でも調理するのに使われた包丁、まな板、鍋などでの料理は、野菜であっても、食べることはできないとなる。


 自分の家の調理器具と食器でないと食べられないという。そういう人は、旅行するにはすべて持って行く。帝国ホテルの自室で料理をして、カレーの臭いを充満させることもある。
 自分の食べ物を持って行かないと、海外ではほとんど食べることができないという人もいるという。更にこれに酒を飲む、飲まないが加わると、もう分からない。
 バンコクでの食事では、タイ料理だったが、自分で選んで食べる食べないの責任を取ってもらうことにした。


 父親は、「卵はOKで、ミルクだめ。にんにくは駄目で、魚は食べない。酒は飲まない」だった。息子は、その真反対で、酒は飲んだ。どう見ても、私には、菜食主義というよりも、日本で言う単に食べ物の好き嫌いや食べず嫌いに近いところもあるのではと思ったが。

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