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Facebook就活はおすすめできない(できなくなってきた)

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Icon1 小俣 剛貴(@goooooki)


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昨日、Facebook Student Career Forumというイベントに登壇させていただきました。

イベントは非常に素晴らしいものでした。
就活イベントにも関わらず学生起業家のパネルディスカッションがあるなど、
新卒の就職活動に臨まんとする学生たちに広い視野を与えるものだったと感じています。

一方で、会場にいた学生達の中には最近のソー活奨励の動きに惑わされている人たちもおり、
このような事態はこの半年ほど、私がずっと危惧していたものでした。

昨今のソー活ブームに警鐘を鳴らす必要があると判断する上では良い機会であったと言えます。

この辺りで昨年のFacebookページを活用して就活を進めた者として、
そして一定数のメディアに出させていただき、
就活生への思慮を欠いた、ソー活を流行させようとする流れに結果として加担してしまった罪滅ぼしも込めて、
主に就活生に、そして無碍にソー活を奨励してしまう人たちにご一読いただければと思います。

もしかしたら、「偉そうに」と気を悪くされる方もいらっしゃるかもしれませんが、
きっと現行の就活生を惑わせているものを排除できる部分もあるかと思いますのでご容赦ください。


1.Facebook就活(だけの就活)なんて僕はしていない

よく、「Facebook就活をした小俣くん!」と紹介されます。
言葉自体には誤りはないのかもしれないですが、
どうやらこの言葉から
「Facebookだけで就活をして内定をもらった小俣くん!」
と解釈する人、あたかもそのような事が可能であると演出するライター、メディアの方が存在します。

現実には僕はFacebookをあくまでひとつのコミュニケーション手法として利用していました。

実際に自分ことをよく知ってもらうために都内を奔走していましたし、
リアルの場で話をし、自分の考えを語った社会人の数は就活生の中でもトップレベルだったと思っています。

ですから、リアルの場でのコミュニケーションがない就活なんて考えられません。

ただ、そういったリアルでの作業をより効率化するためにFacebookが部分的に機能したのは事実です。
ページにLikeをしてくださった方は自分の発する意見に対してアドバイスを下さったり、
時にページのファンの方を経由して人事の方に自分の存在が認知されることもありました。

自分のビジョンをウェブ上で発信し、ファンの方に読んでいただくことで、
自分に適する可能性を孕んだ会社を紹介していただくこともありました。

こういった縁故によってキャリアが形成されていくということは昔からよくあることで、
ソー活の本質的な新しさとはこの繋がりが可視化されることと、繋がりを形成するスピードが早まったというだけだと考えています。

Facebookを活用していたとはいえ、基本的にはやっていることは従来の就活とは何も変わりませんでした。
ただ、縁故をよりよく活用するためにアポ取りやその後のコミュニケーションなどをFacebookでしていた、という部分が強いです。

2.「人事の方と直接コンタクトが取れる」という謳い文句

よく、ソー活を無碍に奨励する人から聞かれる謳い文句がこれです。

「人事と直接コンタクトが取れる!」

でも「メールと何が違うんですか?」と聞いても納得の行く返答をいただけた試しがありません。
そういった人たちが用いるレトリックは
「Facebookを使っているというだけでリテラシーが高いと判断される」というものだったりします。
これはほとんど誤りと言えるでしょう。もはやFacebookユーザーはコモディティです。

しかし、自分のフレンドの中に人事とプライベートで友だちの方がいたら話は違うかも知れませんね。
それがビジネス倫理的に許されるかどうかはまた別の話になりますが…。


3.コネクションやネットワークの熟成には時間がかかる

今までの話をまとめると、ソー活の定義が何かは別にして、

ソー活においてはソーシャルメディアは
・縁故を活用する
・アポ取り成功の可能性を高める
・得たコネクションを可視化する
・一度構築したコネをウェブ上においてコミュニケーションすることである程度保つ
ということは役立ったように感じています。

ただ、これらを実行するにはいくつか求められることがあります。

1.失礼のないように連絡等のマナーを守ること(就活生にとっては大きな課題)
2.”会うに値する”理由やネタを持っている
3.ウェブのリテラシー
4.人との繋がりに対して重要性を見出し、繋がりを大切にできること

と、書いてみるとこれらはこの時点で立派な能力であると言えます。
少なくとも、新卒の就活生の中では。

ですから、あたかも就職で不利な状況にある学生にとっての突破口であったり、
怠惰に学生時代を過ごして何も持たない人にとっての特効薬であるような言い回しは的外れにも程があります。

ソーシャルメディアは魔法のツールなどではありません。
2chで叩かれることもしばしばです。

特に、’13卒の方でこれからソーシャルメディアを活用して、
コネクションを積み重ねていこうと考えている人は立ち止まって考えてみて欲しいと思います。
就活に活かせるほどのコネクションを構築するには時間がかかります。
自分の発信する情報を見てもらい、そこから自分の属性や知識の深さなどを認知してもらうのにも時間がかかります。

どうか、ソーシャルメディアに安易に手を出す前に、
自分を見つめ直す時間を十分に取り、
できるだけバラエティに富んだ社会人の方々とコミュニケーションを取りましょう。

社会人と話す時間が少ないと、面接官とプロトコルがなくなってしまいます。
先輩からノウハウばかりため込んでも、短期的にはいいかも知れませんが徐々に苦しくなっていくでしょう。

4.最後に就活生に向けて

メディアに振り回されている方々に一つ、お伝えします。
Facebook活用を推奨する特集を出す記者やライター、編集の方の中には、
自分がFacebookを使ったことがない人が一定数います。

僕自身、少しショックでしたが、事実です。
どうかメディアに振り回される事のないように。

私はFacebookページを使ってソーシャルリクルーティングを成功させたと言われますが、
もう同じ手法は絶対に通用しません。

あくまでツールです。
それも皆、平等に利用できるツールです。

銃を選んでばかりで射撃を練習しないのでは意味がありませんよね。

どうか、本質的な部分を忘れず、使える範囲で使ってみてください。


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