「自分の言葉」と「借り物の言葉」
先日、ある経営者の方が発した一言で「ハッ」としたことがあります。
うちの会社にも経営理念があるんだけど、自分の言葉じゃないんだよね・・・
「自分の言葉」ってすごく大切だと思うんです。よく「借り物の言葉」っていいますよね。
「自分の言葉」と「借り物の言葉」って、何が違うんでしょうか。
「自分の言葉」といっても自分で作った言葉ということではありません。
朝昼晩に使える挨拶を作ったといって、「おはこんばんちは!!」という言葉を作りました、という次元の話でもありません。
(同年代の人にはわかると思いますが、「おはこんばんちは」はアラレちゃんからの「借り物の言葉」ですが、、、笑)
「自分の言葉」も「借り物の言葉」も、昔から人間が使っている言葉のはずです。そうでないと伝わりません。
なのに、「自分の言葉」と「借り物の言葉」が存在する。
結婚式のスピーチで、すごく話のうまい人で、話の内容も面白いんだけどなんとなく心に響かない話ってありますよね。
一方、話はそんなにうまくなくても、こっそり学校をサボって悪さをした思い出や、一緒に彼女を作ろうと努力した思い出などと一緒に祝辞を言われると、思わず感動してしまうということも多いと思います。
その違いってなんなんでしょうか。
- たくさんある言葉から、考え抜かれてそれを選んだことがわかったとき
- 具体的な経験をもとに話していることが感じられたとき
- 相手の話を聞いて「だからこういう行動をとったんだね」と完全に同調できたとき
そんな時、「自分の言葉」で語っているんだと感じ、人は感動したり、納得したり、心動かされたりするのではないでしょうか。
冒頭の経営者の発言は、
- いい経営理念なんだけど、自分で考え抜いて出てきたものではない
- だから、迷いが生じた時や重要な決断をすべき時に原点として立ち返れるものではない
- 経営理念としてその言葉を選んだ理由が、他の社員などに自信をもって説明できるものでもない
というような背景があってのことだと感じたのです。
今後の会社の成長のためには、「自分の言葉」である経営理念が必要だという向上心を感じた強い一言だったのです。
「自分の言葉」にするために、先代が作った経営理念の背景をもっと深堀りすることなのか新しく経営理念を作ることなのか、どちらのアプローチもあると思いますが、その方の向上心からすれば、いずれ「自分の言葉」である経営理念になると思います。
経営理念だけでなく、就職活動の面接、自己PR、企画書、広告、メール、事業計画・・・
想いを言葉にする機会は多いですが、「自分の言葉」である文章は強いと思います。
事業計画などで、経営者の想いを言葉にするお手伝いをしている自分にとって、「経営者の言葉」になっているかどうかも、忘れてはいけない視点だと思い出させていただきました。