淘汰を迎える携帯電話市場、今度は英Sendoが消える
英国唯一の携帯電話メーカー、Sendoが米Motorolaに一部資産を売却する(ニュース記事参照)。先日は独Siemensが携帯事業部門を売却したばかり。いまだ右肩上がりの世界の携帯電話市場が、いよいよ淘汰の時代を迎えるのかもしれない。
Sendoはベンチャー企業ながら、Microsoftベースの初のスマートフォンメーカーとなるはずだった。だが、さまざまな経緯から、MicrosoftのOSを搭載したSendoの「Z100」は、幻の携帯電話に終わる。Sendoとの提携解消後、Microsoftは英大手オペレータのOrangeと手を組み、香港のHigh Tech Computer(HTC)がOrange向けにカスタマイズしたMicrosoftスマートフォンを作成した。Sendoはその後、Nokia陣営に回り、Symbian OSを採用した「Sendo X」を作成するが、戦略の変更と出遅れによる痛手は大きかった。また同社は、Microsoftを相手取って訴訟も起こしており、これも財務面やブランドにとってダメージとなったはずだ。
さて、そのSendoの知的所有権などを手に入れるMotorolaだが、同社はここ1年ほど、韓国Samsungと激しい2位争いを繰り広げている。英国は欧州の中でも高機能端末の受け入れが進んでおり、3Gサービス開始も早かったことから、携帯メーカーにとっては激戦区。Motorolaにとって、Sendo買収により、英国に拠点を得ることは欧州地区強化につながるだろう。
欧州では、地元であり世界最大手のNokiaがいるほか、韓国勢も活発だ。折りしも、昨年末より欧州全体で3Gが本格化しはじめたさなかだ。いまここに拠点を得ることは、プラスになると踏んだのだろう。ちなみに、Sendoの昨年の販売台数は約500万台、売上高は4億2000万ドルを上回る程度だったという。
Sendoは安価なラインを持ちながら、デザインの独自性も併せ持つユニークなメーカーだった。流行の音楽携帯も比較的早く投入するなど、目の付けどころはなかなかだったと思うのだが、これが時代の流れということだろうか。
ちなみに、Nokiaを除く欧州携帯メーカーとしては、フランスのAlcatelとSagemが地元を中心に奮闘している。