閉塞感の正体(5)閉塞感の定義と、閉塞感を生みだすメカニズム《3》
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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
2012年12月7日に発表しました、同年6月に実施したビジネスパーソン1,000人を対象とした意識調査の解説の5回目。前回に引き続き、閉塞感が職場で生まれていくメカニズムを見ていきましょう。
閉塞感を生みだすメカニズム《4》チャレンジ機会の減少
今回は組織内のチャレンジ機会の状況と閉塞感の関係について着目します。
「チャレンジが奨励されていない組織」では、6 割以上の社員が閉塞感を感じているという傾向が見られました。誰もリスクを取ろうとしない組織では、仕事の進め方に変化が生まれず、結果的に閉塞感を招いているのではないかと考えられます。
次に「チャレンジの奨励」について、前回調査からの変化を見ていきましょう。
チャレンジの奨励は前回調査に比べ減少傾向にあることが分かりました。
今回の調査で「チャレンジの奨励」が減少傾向にあるのは、最近の経済環境が一因と考えられます。ヨーロッパ経済の金融不安が高まり、世界規模の景気後退が懸念される中、多くの日本企業では必要以上のリスクを取らず、新しい投資や活動を抑えているように感じられます。会社全体における「様子見」の姿勢が、職場のチャレンジの機会の減少傾向を引き起こしているのではないでしょうか。
ここで改めて、組織内の環境変化がどのように社員の閉塞感を招いているのか整理してみようと思います。
社員が「閉塞感」を感じる背景には、組織内の「動き」や「変化」が長らく停滞している現状があることが分かりました。
それらの停滞が、組織のスリム化による昇進・昇格機会の減少、人員削減やカンパニー制の導入等による人事異動の機会の減少に加え、景気変動に伴う新卒採用の抑制による、長期間において同じ仕事に従事し続けなければならない若手社員の増加を引き起こしていると考えられます。
このように、組織の「動き」や「変化」が減少する中、組織の至るところで、「身動きが取れない状態」「壁に囲まれた状態」に追い込まれた社員の増加傾向が見られました。そして、その「壁」から抜け出そうとしても、周囲の上司や同僚からサポートを受けることもできず、今の閉塞状況から抜け出すことができず、結果、社員は将来に対する展望や日々の仕事を通じたやりがいを感じられなくなっているのではないでしょうか。
これまで紹介した調査結果から、多くの日本企業では組織内の「動き」「変化」が減少したことにより、
- 努力をすればいつかは報われるという見通しが立たないことへの閉塞
- 今の会社や仕事の中で成長実感や一体感を得られないことへの閉塞
- 今の状況を何とか打開したいが、どのようにすれば打開できるのか分からないことへの閉塞
といった3 つの閉塞が同時に発生していることが分かりました。
ここまでは閉塞感を生みだすメカニズムの詳細を見ていきました。次回は閉塞感が社員に与える影響を見ていきたいと思います。
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