上司が大変そうに見えても、実は部下のほうがもっと大変
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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
高度経済成長の波にのり、順調に多くの人が出世街道をまっしぐらに走っていた頃は、部長くらいにまでなると、のんびり出社して、まずは新聞を読んでたらお昼になって、ではランチビール、みたいな光景があったと聞きます。もちろん職場ではタバコ吸い放題で。
その頃に比べると、今は管理職もプレイング・マネージャー化して、マネジメントもしなきゃならなければ、実際に細かな作業もやらなきゃいけない、と、以前よりは多忙になってきたように思えます。
では実際にはどうなのか?
ハーバードやスタンフォードの研究チームが行った調査がいくつかのサイトで紹介されていましたので、かいつまんで内容を紹介します。
上司のほうが大変そう、か?
Dear Boss: Your Employees Are More Stressed Out Than You Are
上司の方へ。あなたよりもあなたの部下のほうがもっとストレスを感じてますよ
Whenever I'm swamped with work, I just think about my boss. His workload, his responsibilities ? he must be stressed out of his gourd. I'm surprised he hasn't gone gray yet. And so it goes. Higher rank leads to more stress. Or so you'd think.
仕事に圧倒されそうになると、私はいつも上司のことを思い浮かべる。彼の膨大な仕事量、そして大きな責任 ― 彼はストレスで正気を失っているに違いない。なぜ彼の髪がまだ白髪にならないのか不思議なぐらいだ。とそんな風に思いを巡らせる。役職があがるほど高いストレスにつながる。あなたもそう感じるのではないか?
特に自営の方、創業社長などは、この傾向が高いかもしれませんね。いつも会社の経営のことで頭を悩ませているイメージ。一部のベンチャーなどでは、寝る間もなく働くことが一種の勲章になっているケースもあります。
しかし、
It's the rest of us who should be worried. M
心配すべきは我々のほうだ。
とのこと。
上司と部下との違い
この研究の詳細は、以下の記事に書かれていますが、
Managing just fine
マネジメントは総じて気分良いものだ
この調査において
revealing that leaders actually have lower stress levels than lower-ranking individuals, likely because they have greater control over their office lives.
リーダーはより下位にいる社員に比べて明らかに低いストレスレベルであることが明らかになったが、これは彼らの職場生活において、コントロール性が極めて大きいことによるものと思われる。
とのこと。研究の詳細が気になる方は是非原文をお読みください。結局のところ、コントロール性の不在が部下のストレスレベルを高めることになるので、
the results could help employers better manage stress levels in the workforce, perhaps by giving stressed-out lower-level managers more control.
この結果は企業が労働者のストレスレベルをより良く管理するのに役立つだろう。具体的には例えばよりストレスにさらされている下位のマネージャー達に、より裁量を与えることなどを通して。
とまとめています。
神経科学の観点から見た、ストレス緩和に効く5つの要素
この調査を踏まえて、神経科学(neuroscience)とリーダーシップを研究しているDavid Rock氏は、神経科学の知見が、この状況の打破に寄与するだろう、と述べています。
Being the Boss Isn't So Stressful After All
結局上司になることは何らストレスにならない
現在の神経科学の最新の研究も、この上司のストレスに関する研究を指示するものだそうで、
One of the big ideas that has emerged out of the connection between neuroscience and leadership is that leaders are largely motivated by what we've come to call the SCARF model.
神経科学とリーダーシップとの関連において新たに出てきた重要なアイデアの一つは、我々がSCARF(スカーフ)モデルと読んでいる要素によって、リーダー人材が大きくモチベーションを高められるというものだ。
このSCARFモデルとは、脳に対して大きな危険(threat)もしくは報酬(reward)をもたらす、5つの社会性ある経験のこと、だそうです。
先ほどコントロール性を部下に付与すべき、という話がありましたが、このSCARFの5要素をうまく提供していくことで、部下のストレスを効果的に減らしていくことが出来るかもしれません。
- Status (地位/ステータス)
金銭よりも高い地位に伴う尊敬の念などが幸福感をもたらす
- Certainty (確実性/必然性)
長期保証された契約や高い報酬に伴った自信の増加
- Autonomy (自主性/自律性)
上記のようなコントロール性による裁量の拡大
- Relatedness (関連性)
(これは記載無し...)
- Fairness (公平性)
ビジネスで成功しているからこそ感じる公平感
ちょっと今回の話題から見るとこじつけ感もありますが、Autonomy/裁量の観点は入ってますね。このモデルの詳細を知りたい方は、こちらのPDFをどうぞ(英語)。
冒頭で上司の白髪を気にしていた人は、結局このような結論に至っていました。
This could explain the renegade gray hairs I found on my chin stubble this morning.
この(調査)結果で、今朝無精ひげの中に見つけた反抗的な白髪の理由が分かったよ...
ストレスを感じていたのは、上司ではなく自分だったんですね。。。
以前上司の必要性や効用に関する記事を紹介しましたが、それぞれのポジションをうまく機能させる人材マネジメントを、取り入れていきたいところです。
ご一読感謝!
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