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ちゃんと儲かってる? コイン精米機のビジネスを調べてみた

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最近なぜかよく分からないけれど、無性に米が好きになってきていて、会社におにぎりを持って行っては、朝に昼にと米を堪能する毎日を過ごしています。

どこで買っても米はうまいですが、僕の場合は親が農家から玄米を買って精米して食べる習慣があったもので、別世帯となった今も、実家経由で農家の米を仕入れて自分で精米する事が多いです。

そんな精米派の人達にお馴染みのマシンが、この「コイン精米機」
IMG_0108.jpg 夕暮れのコイン精米機

都会の人には全く縁の無いであろうこの機械、使い方は簡単で、玄米を投入口に入れてコインを入れ、ボタンを押すだけ。据付のトレイの中に白い米がサラサラと流れ積もっていくのを見るのは、なんとも心がなごむひとときです。
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料金は10kgで100円。農家から買う袋は通常30kgなので、一回300円くらいがコイン精米の相場でしょう。高いでも安いでもなく、まあ、納得のいく料金だと思います。

でも、これだけ大層な機械で一回300円。さほど大量のお客さんが訪れているようにも見えませんが、本当に儲かっているのでしょうか?考えてみるとコイン精米には、さおだけ屋さんとか、駅前果物トラック販売のような「どうやって儲けているのか分からないビジネス」感がむんむんに漂っている気がします。なんだか心配になってきたのでとりあえず調べてみる事にしました。

コイン精米機の価格

この商売の肝はなんといっても初期投資でしょう。この大層な機械を買うにはそれなりの費用がかかるはずです。一体いくらなのか。とりあえずGoogleで検索して、最初に見つかった「サタケ」さんの コイン精米機の価格を見てみます。

ええと、いろいろタイプがあるようですが玄米専用だと、お値段は約400万円。

...思ったより高級です。ますます心配になってきたなあ...(余計なお世話)

初期投資が分かったら後は売り上げです。正直、売り上げを推測するのは難しいと思っていましたが、そこはオーナー向け商売。ありがたい事に簡単に売り上げの目安 (株式会社大野:米ぼうやくん) が見つかりました。

このページの情報では、売り上げは「場所がよければ月10~15万円の可能性も!」とされています。仮に10万円とみると、一日の売上は約3,300円。客単価300円なら1日平均11人の客が訪れる計算です。これは僕の感覚よりはちょっと多い感じがします。休日は待ち行列ができたりするんですが、平日はそんなに来ることもなさそう。

もう少し現実的に、話半分として売上を月7万5000円でみた場合は、電気代が月1万円かかったとして、初期投資400万円の回収には5年かかる計算となります。こうなると故障時の修理代とか、設置する場所の土地を借りるコストがかかるとすると少し厳しい感じですから、せめて土地は持ってた方が良いでしょう。

そうしていろいろ考えると、このビジネスを成功させるための人物像が浮かび上がってきます。地元のコメ事情に詳しく、設置場所周辺の精米ニーズを的確に捉えられる人で、かつ回収に時間のかかる初期投資に耐えられる資金力があり、設置場所の土地を押さえている人...ああ、これって農家のおじさんだ。

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CIMG1611 / max.takaki

結果としては、コイン精米機は裕福な農家の方が自分の田んぼの端っこに設置するのかベストなビジネスなのではないか、という当たり前の結論を導く事ができた訳です。地味ながらも長い時間をかけて儲ける、資産家のための家賃収入的なビジネスなんですね。僕から心配される必要は、何もなかったようです。

これからは心置きなく、農家のおじさん達に感謝しながら、流れるお米に心安らぐひとときを楽しませてもらう事にします。




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