【濱田宏貴】どこよりも早い!SoftWindows 95 5.0β版レポート【Macintosh WIRE 1998.01.20】
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もう1本、濱田宏貴さんの執筆記事を見つけたので再掲載します。
SoftWindowsは彼の最初の書籍のテーマでもありました。MacUser日本版から出した最初の書籍です。
* Macintosh WIRE * ================================================= * [REVIEW]●どこよりも早い!SoftWindows 95 5.0β版レポート ------------------------------------------------------------------ 先日発表があったとおり,Insigniaは同社のPCエミュレータアプリケーショ ン『SoftWindows 95』をバージョンアップした。新バージョンのSoftWindows 95 5.0では,アプリケーションやドライバの改良によって25%のパフォーマン スアップがされているのを最大の特秩Eとしている。ここでは入手できた日本語 版のβバージョンを使った使用レポートをお伝えしよう。 ●SoftWindows 95 4.0と比べて確かに速くなったが…… 最大のウリ文句の「パフォーマンスアップ」がやはり気になるところ。まず はこれをチェックしてみた。 -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- 《ベンチマーク》HDBENCH 2.51 (EP82改/かず 氏作のフリーソフトウェア) に よるベンチマーク結果 ALL 浮 整 矩 円 Text Scroll DD SoftWindows 95 5.0β 4105 7904 10383 3890 979 1531 73 3 SoftWindows 95 4.0 2873 1106 7270 3957 594 1500 69 1 Real PC 1.0 (Win95) 4147 7914 10356 3886 944 1501 72 3 *テスト環境はPower Macintosh 7500/100にPowerPC 750/250MHz (セカンド キャッシュは512Kバイト/125MHzクロック) /合計80Mバイトメモリを搭載したマ シンにMac OS 8標準インストール *各アプリケーションにはPCメモリ32Mバイト,デルタキャッシュ2Mバイト以上 になるようにメモリ割り当てし,Windows 95デスクトップは640×480ピクセル /256色に設定 *このほかの設定項目はインストール直後の状態 *Real PCはWindows 95をインストールしたときの値 -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- この結果は数字が大きいほど高速であることを意味する。CPU性能を示す「浮 (浮動小数点演算) 」と「整 (整数演算) 」,そして描画性能を示す「DD (DirectDraw) 」の値がSoftWindows 95 4.0と比べて大きくパワーアップしてい ることが分かる。 CPU性能の向上はPCエミュレータアプリケーションの改良によるものだ。アプ リケーションファイルの制作日時は,SoftWindows 95 4.0→Real PC 1.0→ SoftWindows 95 5.0と新しくなっており,改良が続けられていることがわか る。DirectDrawの性能向上にはWindows 95用ディスプレイドライバの改良も含 まれているのだろう。こちらもSoftWindows 95 5.0では日付が新しいドライバ が使われていた。 ただ,ついこの間出荷されたReal PC (DOS環境下での利用を目的に作られた 同社製のPCエミュレータ。Windows 95をインストールして使うことも可能) に Windows 95をインストールした状態とは,ほとんど同程度の性能である。 SoftWindows 95 4.0とSoftWindows 95 5.0とではちょっとした操作でももたつ きが少なくなっているように体感できるが,Real PCとSoftWindows 95 5.0とで は違いは分からなかった。 なんにせよSoftWindows 95 4.0と比べて速くなったことは素直に喜べる。た だ,4.0ではなかった「SoftWindowsをバックグラウンドに回したとき Macintoshアプリケーションの動作がキーボードの反応を中心にやや重くなる」 という現象が5.0に発生した。 ●機能やインタフェースもReal PCと同等になった 機能では,「MMX命令サポート」「DOS環境でも利用可能なSound Blaster Pro&Sound Blaster 16互換」「Macintosh用ジョイスティックのサポート」 「バッチファイルをMacintosh上から直接実行できるEasyLaunch」などが SoftWindows 95 4.0と比べて強化された。 また,4.0に引き続いて「ファイル共有 (ロングファイルネーム対応) 」「ク リップボード共有 (テキスト/ペイント対応) 」「Macintosh用IMを利用した入 力サポート」「ターボスタート (Windows 95のみ) 」「PC SCSIサポート」 「Open Transportサポート」「AppleScriptサポート」「ハードディスクファイ ルの拡張/縮小」などの便利な機能ももちろん用意されている。 そして,さまざまな機能を設定するメニューのインタフェースは SoftWindows 95 4.0のようにメニュー項目から選択するのではなく,設定ウィ ンドウを出して各設定値を指定できるようになった。また,ターボスタートに ショートカットキーが割り当てられるなど,メニューの構成にも手が入れられ ている。 実は,これらはすでにReal PCで実現されたものなのだが,豊富になった機 能,使いやすくなったインタフェースに文句はもちろんない。 ●Real PC+Windows 95=SoftWindows 95 5.0!? ここまで読めばお分かりの通り,このSoftWindows 95 5.0は「Real PC 1.0に Windows 95をインストールしたもの」にかなり近いと感じた。性能/機能/イン タフェースのどれもが,SoftWindows 95 4.0と比べれば優れているものの, Real PCと比べるとそう違わない。 だからといってSoftWindows 95 5.0が意味のないものだということは決して ない。MS-DOSベースのReal PCにWindows 95を導入するのはある程度の知識と短 くない時間が要求されるし,なにより面倒だ。それがSoftWindows 95 5.0の登 場によって,高性能なWindows 95環境が手軽に得ることができるようになった わけだ。 筆者はPCエミュレータの中でWindows 95環境を用いるならSoftWindowsが最も 優れていると思っているだけに,この製品はベスト候補にあげられる。ただ, もちろんコストパフォーマンスも重要な要素だ。現在,SoftWindows 95 4.0は Real PCとWindows 95システムを足した値段より安く買える。これと同じ価格設 定がされれば,コストパフォーマンスも優れ,ベストな製品に確定できるのだ が……。 PowerPC 604e搭載機でのテスト,Officeやゲームなどのアプリケーションを 使ったテスト,コストパフォーマンスの評価に関しては正規版が入手できしだ いお伝えする。 [濱田宏貴,Macintosh WIRE]
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