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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

反クラウド的クラウドの話

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どこの誰が言い出した事なのかわからないが、今じゃ世の中皆クラウドだ。言葉の方が先行するものだから、いつまで経っても「クラウドって何?」という疑問は消えないし、「XXXXが考えるクラウドのあるべき姿」などといった、雲をつかむような話があちこちを飛び交う。相手を見ないものだから、「クラウドとはかくあるべし」なんて一席ぶったところで、始めてものの3分もすればあくびだし、5分も経てば居眠りだ。「XXXXが考える」だなんて、お前の解釈なんぞどうでもいい。由緒正しき誰にでも通用するクラウドをきちんと説明してみろ。それにしても横文字だらけで、何をいっているのかさっぱりわからんぞ。そうだ、どうせそんな哲学的な話なんぞを聞いて喜ぶのはごく一部の好き者だけだ。どこかで聞きかじって一端の話をしているつもりになったところで、話をしている当人が理解していないんだから、聞いている方は苦痛以外の何物でもない。そんな話、止めてしまえ。さっさと次行け、次。いつも使えるシステム操作の小技集のほうがずっと面白そうだぞ。

なんて実際に行なわれることはないのだが、この辺りが「雲」をめぐる目に見えない批判ってところだろうか。(これほど極端ではない?いやもっと過激?)当然聞く側の立場や関心によって異なるのだが、セミナー後のアンケートなどを見れば、概念的な話題よりも具体性のあるネタの方が受けが良かったりする。だからと言って目先の話だけでは将来像を語ることはできない。少々抽象論なので、受けがあまりよろしくないかもしれないことを承知の上で、与えられたお題は何とかこなさなければならない。相手を見て話の緩急のつけ方を変えるのがあるべき姿だとは思うが、僕の持ちネタのバリエーションの限界もあり、現実問題としてなかなかそうもいかない。資料は予め用意して配布してしまっているので、急には方針転換できないのである。なんてことを思ったこともあるな、とセミナーに向かう飛行機の中で、ぼんやりと外の雲を見ながら思い出した。(パイロットさん、突っ込むと揺れて怖いからできるだけ避けて飛んでね。そうだ、クラウドはおいそれと無用心に突っ込んではいけないのである。)

抽象論と具体論との狭間において、どのあたりの路線を行くべきかを決めるのはなかなか難しい。戦略の話をしろと言うものだからその通りにしたつもりなのに、具体性がなくてよくわからないなんて評価を下されてしまうのかもしれない。具体的事例を織り交ぜながら抽象論を語るには、僕自身まだまだ修行が足りないように思うのである。

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