エコのようでエコでないかもしれない話
我が家の車は購入してから12年と7ヶ月になる。ドアミラーを車内のスイッチ一つで閉じることができなくなったとか、クーラーの利きが悪いとか(おそらく触媒を補充すればよいのだろうけれどあまり頻繁に乗るわけではないので放置してある)、5メートル位まで近づくと外装の細かな傷が目立つという以外は結構しっかりしている。運の良いことに、これまでに大きな事故とか故障も経験したことがない。
そこへ車を買うなら今がチャンスとばかりに、エコカー減税だのエコカー購入補助金だのといった制度が発表されたものだから、そろそろ買い替えかという気にもなってくる。しかも購入してから13年以上の車を廃車にすれば、件の優遇措置はより一層有利になる。この条件に達するまであとわずかだし、エコカー関連の優遇措置の期限も来年3月末までのようだから、これらを同時に満たすタイミングで車を購入するのがベストなのだろう。だから今年の夏休みの課題の一つは自動車販売店巡りと決めてある。大袈裟に言えば10年に一度の大きな買い物なので時間もかかるだろうと想定しているのだけれど、もしかしたら衝動買いのようにポンと買ってしまうかもしれない。
それにしてもと思うのである。最近はエコばやりである。13年近くも経つ車は燃費が悪く、最新の車に置き換えれば確かに燃費は大幅に向上するだろう。家電だって我が家のは10年以上も使っているものがほとんどである。これも最新の製品を買えばエコポイントなるものを得ることができるだけでなく、当然のことながら消費電力が大幅に削減されるだろう。古い製品を使い続けることは、ランニング・コスト削減のための努力を放棄することであり、エコという政府ないし世界的な方針に反することであり、さらには様々な税制上の優遇措置や補助金制度をみすみす見逃してしまうことに他ならない。そういうのは「悪」であり、様々な制度は「心を改める」チャンスをくれる政府のキャンペーンだとも言えるだろう。
でも本当に買い替えをするのってエコなのだろうか。古い家電にしろ車にしろ間違いなくお払い箱になるわけだし、それらがどこまで再利用されるのか詳しいことは僕にはわからない。廃棄物が生じるのだとしたら、間違いなく環境にとっては負担になるはずだ。それを加味した上であっても、新製品のメリットの方が上回るのだろうか。もしかしたら廃棄物については、二酸化炭素排出量換算の対象外で何も目標設定されていないから構わないのかな。そんな事を気にかけるよりも、この厳しい経済環境を活性化させるために、少しでも消費者は物を買って貢献せよ、という事なのかもしれない。結局は各自の判断だろうというわけで、車の方はともかく、家電の方は壊れるまで使ってやれという気になっているのである。