論文と格闘した週末の話
約3ヶ月半の期間に及ぶ全14回の前期授業が先週ようやく終わった。ビジネスとコンピュータとの結びつきを、コンピュータを専門に学ぶ大学生に教えようという試みである。たまに技術的に詳細を述べることもあるが、理系の大学生を相手にしながらも、どちらかというと文系的色彩の強い科目だと言えるだろう。授業のネタは昨年のを元にしているが、全般的に見直しながら刷新したので、意外に手間がかかってしまった。自己満足は良いとして、これがどれだけ学生に伝わったのかが重要だ。昨年に引き続いてテストの代わりに論文提出を求めたのであるが、提出物を見ると授業内容は大学生にとってはなかなか難しい話題だったことがよくわかる。先端技術(かどうかはわからないが)を学ぼうという学生にとって、ビジネスの世界はさぞかし保守的に映ったことだろうと思う。
現実は現実として、興味が湧く・湧かないとは別の次元で機能しているビジネスの話について、それでも熱心にメモを取りながら聞いてくれた学生がいたのは励みになった。学生はどう思っているかわからないが、週に一度きりの授業であるにも関らず、いつも前の方に陣取っている学生や、数列後ろであったとしてもプロジェクターに映し出される資料に熱い視線を送っている学生は目立つものだ。学習態度良好、という評価ができればと思うのだけれど、残念ながらそういった学生全員の顔と名前を一致させることはできそうにない。
ただ最終論文を一つ一つつぶさに読んでいて、そのかなりの割合がパターン化していたのにはまいってしまった。記述するべき点がある程度明確に定めることができて、そのそれぞれをどれだけ正確に網羅しているか、という基準で採点できればあまり苦労することない。元々自由度が高い課題設定だったので、ぼんやりと採点していたら全員同点になってしまう。テスト向けには適した課題だったかもしれないが、その代わりの論文には適していなかったと後で後悔しているのである。
済んだことを考えていても仕方ない。採点の基準をどのあたりに設けるのが妥当なのかを把握するために、まずは130通以上もの論文に目を通すところから作業を始めた。そして採点の基準らしきものをある程度見極めたうえで、あらためて全ての論文を読み返して、成績別に分類し直してみる。最後にランク分けされた論文を見直して、ランク内のばらつきが妥当な範囲の中に収まっているか、もしくは別のランクに入れるべきかを最終判断してゆく。すなわち、全ての論文について3回以上目を通す計算になるわけだ。
おかげで先の週末は論文採点のための2日間であった。授業の下準備や論文採点と、ここのところ週末をつぶすことが多いので、さすがに家族の非難を浴びるようになってきた。確かにせっかくの週末なのに、家庭内で一人黙々と仕事をされていては目障りに違いない。授業期間に一区切り付いたので、今後しばらくは平穏無事な週末をと思ったのであるが、娘の方が進学教室の方で忙しくなるらしい。今度はお受験準備のお付き合いが待っている。