スキルを磨く話
休みの日はなるべく娘の勉強を見てやることにしている。学校の宿題はともかく、通っている進学教室の宿題の分量・難度ともに相当のものがあるのでお付き合いである。自律的にやってくれればこっちも楽なのだけれど、残念ながら家の娘には無理な相談だ。単に勉強を「監視」するのもやり方だろうが、当人としても監視されるのはいやだろうし、こちらとしてもどんなことを学習しているのか興味はあるので、なるべく娘と一緒に宿題の問題を解くように心がけている。
普段だったら3桁同士の数の掛け算なんて電卓なしでは済ませられないのだけれど、小学生と同じ条件下で紙と鉛筆だけで地道に挑むのは、甚だ面倒くさい一方で、ある意味新鮮である。おかげで僕自身、大分計算力が上がったような気がするが、残念ながら何の役にも立ちそうにない。応用問題になると、親のメンツを保てるかどうかのリスクに晒されるけれど、今のところは安泰である。小学生レベルの問題なら、あれこれとやっていれば何とかなるものだ。などと言ったところで、実はかなり危ない。メッキが剥げるのも時間の問題である。
国語の読解とか記述問題など、面倒な問題にもなるべく取り組んでいる。回答のポイントを外すことはまずないのだけれど、回答の仕方を設問にきちんと対応させるという至極基本的なことまで教えるためには、自ら同じようにやってみるという考えである。だから算数同様に、具体的に文章を書いてみるし、文字数の制約も考慮する。主語を与えられていたら、それに対応した述語をどこからか探してこなければならないし、例えば理由を問う問題には「・・・だから」という答え方が必要である。
こういった何を今さらと思われることが、日常意外にできていないことに気が付く。誰もが数多くのメールやり取りを行なっていると思うが、主語と述語に不整合がある文章とか、敬語の乱れとか、文章の「見栄え」が整っていない文面に出くわすことがある。さらに書いている当人すら主張したいことを明確に認識していないためか、クレームなんだかお知らせなんだかわからない文章とか、英語交じりの文面なのだけど英単語が多すぎて意味不明になっているとか、誰もが遭遇したことがあるだろう。そして、皆日本語がなってないよなと思っている僕自身も、その元凶になって「害毒」を巻き散らかしていたりするのでたちが悪い。出したメールに対して返されてきた返事が、僕が言わんとすることの確認だったりすると、何だか申し訳ない気がする。
会社に入るとスキルを磨くことの重要性は、いやというほど聞かされる。そして、外資系IT会社ともなると、英語とかIT技術などのスキルが重要視される。別に名文を書く必要なんて全くないのだけれど、日本語ないし、国語のスキルを磨こう、なんて声は聞いたことがない。でも一度は基本に立ち返ってみるのも良いかもしれない。与えられた文中から形容動詞を探せ、なんて課題も結構新鮮だ。