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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

夏の夜に

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小さな子を持つ母親にとっては試練の夏がようやく終わったというところだろうか。いかに我が子とはいえ、1対1、もしくは兄弟2人なら1対2という具合に、朝から晩まで顔を突き合わせているのは「すっごく楽しい」とよく聞かされた。勝手に外へ行って遊んでいてくれるのならばいざ知らず、昨今はどうも物騒なのであまり放っておくわけにもいかない。時間が来るとどこへともなく家を出て、友達とあちこちをふらついた挙句、夕食時までには帰ればよいだろう、といった心がけでいてもらっては困るのである。余計な精神的負担から開放される、親にとっても待ち遠しかった「託児所」の新学期がようやく始まる。

何故か毎年恒例になっている、ご近所有志による花火大会が昨夜開催された。大会と言っても、スーパーなんかで売っている花火を買ってきて、公園で皆でいい加減に楽しむのである。最初はおとなしく手で持つタイプの、線香花火なんぞで遊んでいるのであるが、大抵参加者の誰かが必ず噴出しとか打ち上げるタイプを買ってきているものだ。参加している父親連中が何か刺激的なものはないかとごそごそと花火の山を漁りだす。ざっと10家庭近くが参加しているので、買ってくる花火も文字通り山になっている。数年前に市販品とは言え打ち上げ花火を試してみたら、かなりの音響と共に火花が散ったので、近所から苦情が来ないかと肝を冷やしたものだ。以降は打ち上げ花火は自粛しているのだが、だからといって動きのない花火は飽きてくる。

今年のハイライトはトンボ型のやつであった。尻尾の導火線に点火するとどうやら飛ぶらしい。花火にはある程度の危険が伴わないとつまらない。「15メートルくらい飛翔します」などと書いてある。どうせ話半分だろうから、せいぜい7~8メートルくらいなものだろう、そして羽の傾きから航空力学的に(?)判断して、左旋回しながら上昇するに違いないから、左上空に空きのある場所で点火してやればよさそうである。でも上昇角度が低くほぼ水平に飛行する可能性も否定はできないから、いずれにせよ近寄るのは危険だろう。トンボ型花火を地面に置いて導火線に点火すると、大人も子供も大袈裟に走って逃げる。数秒後、トンボは火花を巻き散らかしながら、木々の間を抜けてほぼ垂直に上昇する。予想に反した動きにうろたえながら目で追いかけると、あっという間に火が消えたので見失ってしまった。

歓声を上げながら、凄かっただの、思ったより大した事がないだの、動きが予想に反して旋回しなかっただの騒いでいる。本当は変な方角に飛んで行かなかったので、安堵したというのが実情である。いざとなれば水の入ったバケツを持って走る準備はできていたのだが、まあ何事もなくて良かった。よし動きは読めたので今度はもっとうまくやろうと、2個目・3個目のトンボに点火すると次々に飛ばした。このあたりになると、むきになって取り組んでいるのは、父親連中だけだったりする。

花火も尽きてくる頃になると、子供は真っ暗な公園でブランコなんぞで遊んでいる。暗いとまた格別のスピード感があってスリリングなのだろう。明日は学校だ、早起きだろうと促され、しぶしぶと家路につく。僕の方は、来年はもっと大きな吹き出し花火を買ってこよう、などと密かに思っていたりして。

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