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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

前期授業を終えて

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大学での前期授業が先週終了した。僕にとっては初めての講師業で、ビジネスの世界において用いられるコンピュータについて述べる、単位を伴った正規の授業である。個人用のものはさておき、世の中のコンピュータの大半はビジネス用途であるという、大学側の問題意識から開設された科目だと聞いている。講義の進捗に追いかけられるように、ネタを仕込み、資料を準備し続けるのは、精神衛生上そんなに楽なものではなかったが、とにかく最後まで続けることができて一息ついている。

もともと持ちネタは十分にあると言えば言えないこともないのであるが、その対象としている人達は社内だったり、ビジネス・パートナーだったり、お客様だったりする。要するにビジネスの世界の中にいる人向けの説明なのであるが、そのままでは「あちら側の」大学生には通用しない。彼らにとって未経験の世界であるから、僕らが常識と思っていることは、もしかしたら彼らの非常識である。常識が何故そうであるのかを筋道立てて説明するのはなかなか至難の業だ。例えば、アプリケーションのデータは必ずバックアップを取ることに異論を差し挟む人は皆無であろう。これを、何故、どこの部分を、どうやってと、一つ一つ紐解くように説明するのは結構面倒だ。

また、講義で間違ったことを伝えるわけにはいかないので、自信がなかったり、知識にあやふやな部分があったりした場合には、一つ一つの裏付けを確認しておかなくてはならない。そうした不明点を好奇心の赴くままに調べながら、資料としてまとめてゆく作業を続けたところ、やってみるとこれが意外に楽しい。時間はかかるのであるが、ずっとこんなことばっかりやっているのも悪くないかもしれない。

授業が終わったら学生一人一人の成績を評価しなければならない。彼らにとって「異文化」の事をいきなり試験で問うのは難しいかなと思ったので、最後も論文で評価することとした。試験監督を行なわなくても済むわけだし。課題はそれなりに考えたので、論文作成にあたって、今流行(?)のどこかのWebサイトからのコピペで済まそうとするのは無駄な試みである。課題発表の前に、自ら色々と検索をかけてみたが、論文対策に直接的な効果を発揮しそうなWebページを探し当てることはできなかった。観念して講義内容を思い出しながら、各自それぞれに考えてもらおう。そうすれば僕の講義がどこまで皆に伝わったのかよくわかるというものだ。

提出された論文にこの連休に目を通して評価を行なったのであるが、正直言って学生には結構難しい内容だったようだ。前回のミニ論文に比べれば書きやすい課題だと思っていたのであるが、それはこちら側の非常識な立場からの目論見のようだし、何人かの学生に共通の思い違いも散見された。次回はどうなるかはわからないが、もしチャンスがあるならば、誤解されないように予め講義の中で注意を促しておくこととしよう。ちなみに、履修者名簿から男女比は9対1と思われたにもかかわらず、僕が最高点をつけてもよいと思った学生の名前をみてみたら、そのほとんどが女子学生であった。

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