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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

ITの人材は不足しているらしい

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僕自身はお客様やビジネス・パートナーに、System i (今はPower Systemsと言うのが正しい)という製品の特徴を説明する機会が多いのだけれど、当然の事ながらITに関わっている方々が抱える課題は必ずしもSystem i に限定されるわけではない。特にマネジメント層の方々が参加していると、僕が回答を持ち合わせていない、もしくはそもそも明確な回答があり得ないような領域にまで話が及ぶことがある。

ある日のこと、システム室の悩みを伺った時に、IT経験者の人材不足をコメントされた方があった。必ずしもSystem i だからとか、COBOLなどのレガシー・アプリケーションだからといった事には限らないようだ。とにかくITに関わったことのある経験者が入社してこないのだそうだ。

そのお客様の本業は流通業であり、名前を聞けば誰でも知っている。僕自身も個人的に馴染みのあるブランドの商品を売っている。にも関わらず、その会社に入社してくる人達は、ITに関わってみようとは考えない。確かにそこで販売している商品を見て、コンピュータの存在をすぐに連想する人はいないだろう。新人が加わることなく、将来に向けた人材確保がままならないようでは、会社としての今後が危うくなる。経営層に理解があればまだしも、そうでなければ最後の手段としてアウトソーシング・サービスに頼らざるを得なくなるのだそうだ。5年とか7年とかのスパンで契約を結べば、少なくともその間の人材不足は心配しなくて良いという理屈である。

実は僕自身、アウトソーシングはコスト削減になるのだろうと、恥ずかしながら単純に思い込んでいたのだが、多くのケースでは実はそんなことはなくて、経験的に見るとかえってコスト高になるのだそうだ。ごくちょっとしたシステム拡張を行なおうとしても、アウトソーシングだといちいち交渉が必要だし、請求される追加料金の算出根拠が不明だったりすると、不信感を持たざるを得なくなる。サービス会社に自社のITの運命を握られているという、薄気味の悪さもあるというわけだ。それに比べると、社内で人材を抱えていれば、社内にITスキルを維持できるし、よっぽどコストも明確に把握できるということなのだろう。

これは僕には意外であった。各企業にとって、投資を集中させる領域とそうでない領域とを選別した後に、ITは戦略的ではないと判断されることもあるだろう。アウトソーシングはその場合の解の一つとなるというのが謳い文句だったと思うのだが、どうも事はそれほど単純ではないらしい。

ITの世界の人材の募集の仕方にも、従来とは違った考え方が必要な頃なのかもしれない。今は会社に入る事が先で、部門配属はその次であろう。ITのように特殊技能が必要な職種においては、プロ野球のドラフト制度の様に、ITを先に決めて会社を後に決めるような仕組みが必要なのだろう。そうすれば、ITとはちょっと縁遠そうなイメージの会社にも、IT経験者が「就職」する門戸が開けるのかもしれない。

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