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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

学生に課題を出してみた話

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僕が大学生の頃はシラバスなんて公開されていなかったような気がするが、今期授業の開始に先立って、各回の授業概要を予め公開すると共に、成績評価基準も明確にしてある。本来はこうあるべきだよねと思う。そして学生にとって最も気になる成績評価の方法は、出席点と、前期末とその前のミニ論文の出来で決めると予告済である。どうするのがよいのかよくわからなかったので、とりあえず先人に倣っただけのことである。

4月以来ほぼシラバスどおりに前期授業を進めてきた。まだ新人でもあるので、とりあえずは真面目な(?)大学教員である。成績評価についてもシラバスどおりにしておいた方がよかろうと思い、前期授業も半ばを過ぎたところでミニ論文の課題を出すことにした。元々は数回の課題を出す予定としていたのだが、一回だけで済ませることにした。予想をはるかに上回った学生の数分の、しかも似たような内容になるかも知れないレポートを何度も読むのはつらそうである。だけど自分で作ったものとは言え、シラバスを無視するのもまずいかもしれない。そこで中間を取ったというわけだ。何も好んで課題を出したわけではないのだ。自分が学生の頃は、課題のレポート提出を求める教授をうらめしく思ったものだが、今度はこっちがそう思われる番か。

最初に僕が案を作ってから、会社内で経験者の意見を聞いた後に課題を決定した。第三者から見て、課題文にあやふやさがないことを予め確認したかったのである。大学生にとっては結構難しい問題だろうなあと少々心配でもあったのだが、たまには頭をひねってもらうのもよかろうと考えた。授業をよく聞いていないと、課題で想定していることの意味がわからないかもしれない。だから課題を発表してから、授業中にも少々ヒントを出しておいた。別にこちらの目的は、学生を落とすことではなく、講義内容を理解してもらうことなのだから。そして、明確な一つの正解というのを決めにくいのも事実である。こちらが想定もしていないようなことを書いてくるかもしれない。内容の妥当性を吟味しなければならないとしたら、評価する方も手間がかかって大変だ。だからと言って心配していてもしょうがないから、まずはやってみることにした。

大学の教務課に顔を出したら、提出物だと言って紙の山を渡された。ぱらぱらとめくってみた感じでは、意外に内容にバリエーションがある。似たようなレポートを繰り返して読まねばならない事態にはならないようだ。こいつは助かる。授業内容はどこかに飛んで行ってしまっていて、想像力だけで体裁を取り繕ったものもある一方で、僕の知らない機能や製品のことを中心にあれこれ述べたものもある。無理にそんな事をしなくても、授業内容だけでこなせるように課題を設定したはずなのになあ。と思っていたら、こんな風に書いて欲しいなと思うそのままに近いのも見つかった。何だか授業を行なう方が採点されているような気分になってしまうのである。

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