建前と本音のクールビズ
蒸し暑さを感じる日が多くなってきたが、6月になればクールビズということで、スーツとネクタイから開放される。というはずなのだけれど、世間は必ずしもそのとおりではない。何を間違ったのか、真夏であってもネクタイを締めてスーツを手に歩く、我慢大会を生き甲斐にしているかのような人達がいる。会社としてもロビーに入ると、環境に配慮してクールビズを実施しているから社員はそれなりの格好をしているかもしれないけど理解してね、といった具合の看板を出してはいる。でも外部からのお客様を迎える社員のほとんどは、ネクタイ・スーツ姿だったりする。せっかくの看板が色あせているのだが、それでもうちの会社は外資系だけあって、額面どおりにクールビズを実践している人の割合は高い方ではないかと思う。
で、結局のところクールビズかネクタイ・スーツ姿かを状況によって選別するのが、ビジネスマンのあるべき姿なのだろう。クールビズだとかチーム・マイナス6%といった「看板」を盾にいかなる状況においても動じない、というのはそれはそれで見上げたものだが、小心者の僕はなんとなく世間を見回しながら、態度を決めている。
話が横道にそれるが、ビジネスマンというと時任三郎がスタミナ・ドリンクを片手に24時間戦っているようなイメージが脳裏から離れない。サラリーマンというと、おちゃらけて踊っている植木等のイメージが強くて困っている。いずれにしても古いな。
先日も電車の中で中堅社員と思しき3人が話しているのを聞いていたら、クールビズが建前と化しているんだろうなと感じさせる内容であった。
「7月になると今年の新人が配属されてくるよね」「うんうん」
「まさか、いきなりクールビズです、なんてやって来るんじゃないだろうなぁ」
僕なんか、「社内だったらいいじゃない」とか、「会う相手が協力会社だったら身内みたいなものだからいいじゃない」とか思ったりもするのだが、要するに身内でも「締めとけよ」ということなのだろう。いやこれは統制がしっかりした会社なんだろうな。
相手が誰であれ、迷ったりわからなかったりする位だったら、我慢大会に参加しておく方が安全である。新人だったらそんなところに気を配るよりも、体力でカバーしろということなのだろうか。でももう少し周囲が見えてきたら、頭を使って対応を決めればよいと思う。そして状況によっては、例えば大事なお客様に会うような場合は、真夏でもあきらめてネクタイ・スーツ姿で身を固めるしかないだろう。いつまでたっても何も考えずにとにかく我慢するしかないとしたら、お気の毒様と申し上げるしかない。