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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

食の異文化交流、、、、は美味しくないかも

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毎週土曜日の夕方は、娘のバレエ教室への送り迎えをしている。夕方の薄暗くなる時間帯に、小学生が一人で帰宅するのは安全上好ましくないからだ。物騒なものだが仕方ない。お父ちゃんとしてお払い箱扱いされないだけでもよしとするか。

バレエ教室は夕食前の時間帯にかかるので、終わる頃には空腹を覚えるのだろう。いつも乗り降りする駅構内には鯛焼きの香ばしさが漂っているので、たまに買ってくれとせがまれる。晩御飯が食べられなくなるからとりあえず持って帰るだけねと言いながら、100円玉と10円玉を一つずつ握らせてやると、買ってきて満足そうにジャケットのポケットに入れて、まるでヒヨコでも抱くかのようである。

この前一つ買おうと思ってメニューを覗き込んでいたら、鯛焼きとは認定しがたい鯛焼きまで売っているのに気がついた。鯛焼きの王道と言えば、本当にそうなのかはしらないけれど、僕にとってはつぶ餡と決まっている。こし餡でもまあ許す。それがクリームだとかチョコレート入りのまで鯛焼きを名乗っていて、いつの間にやら市民権を得ている。これでも鯛焼きなのか、と眉をひそめていたところ、何とピザ鯛焼きまであるのである。ピザ・ソースにからめたソーセージが中に入っているらしい。う~ん、食べたくないなあ。

いや僕はピザが嫌いだというわけではない。ちゃんとしたピザ生地にトマトソースとチーズを絡めた土台に、さまざまな具が乗っているやつはむしろ好きである。ピザの味付けと具材を鯛焼きの中に入れるという安易な発想が、鯛焼き愛好家(?)の僕としては許せないのだ。もっとも食わず嫌いで物を言っているので、ピザ鯛焼きは旨いのかもしれないが。ついでながらクリームソース味だったり、和風味付けだったりするピザも好きではない。これはちゃんと食べてみて、うまくないと思った。どうもピザのイメージとはかけ離れた味わいなのである。

よく考えてみると、中にブルーベリークリームだかキャラメルプリンだかの風味の餡を詰め込んだ、アイスクリームの味付けかと思わせるような大福もあるし、京都土産の定番の一つでもある生八つ橋だって今やチョコレート入りのものがある。こういうのが好きな人もいるのかね。どうも餡を前提に作られるべき菓子が、洋菓子食材の侵入を許していると言えそうだ。反対に和の食材が洋菓子に使われている例というと、アイスクリームの小豆とか抹茶くらいなものかな。

異種の食材を掛け合わせれば、その組み合わせは無限に広がるだろう。だけどそれに市民権を与えるかどうかは、それなりの基準をクリアしなければならないはずだ。でも長い年月の間に(心ならずも)ピザ鯛焼きが当たり前になって、つぶ餡入りのがクラシック鯛焼きになる日が来るのだとしたら、要するに僕の味覚の柔軟性がなかったということで片付いてしまうのだろう。そうなったらちょっとくやしいけれど。

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