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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

スキーの道具にこだわる話

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年初に出かけたスキーの際に、20年近くも前に手に入れた、リアバックルタイプのソロモンのスキー靴がボロボロになったので、新しいやつを購入した。結構高い靴だったのだが、さすがに年季が入り過ぎて材質が劣化していたのだろう。当時見栄を張って無理して買った上級者向けの靴は、持ち主の技術の低下と共に既に精彩を欠いていて、骨董的価値を醸し出すレベルに達しようとしていたのであるが、とうとう寿命が尽きたらしい。それにしても滑走中でなくてよかった。今度のは無理せずに初級者向けの、そしてどこにでもあるフロントバックルタイプである。昔は結構重かったように記憶しているのだが、昨今のはかなり軽量化が図られているようだ。スポーツ用品店で試した際にひざを屈伸させてみて、「ちょいと柔らかいねぇ」などと売り場のお兄ちゃんにひとしきりほざいてみせてから、「ま、こんなものか」とポンと購入した。先日はその新しい靴を持って、今シーズン2度目のスキーに出かけたというわけだ。実際に滑走してみたらどんなだろうと、少しばかり楽しみであった。

実はスキー板もつい2年ほど前に購入したばかりである。以前のは僕の身長よりも20センチメートル近く長い、これまた上級者向けのロシニョールの板だったのだが、長い板は流行らないらしい。今はカービング・スキーという少し短めの板が主流である。かつては板の長さは技術の熟練度を表す指標であったが、そんなことを考えて自慢するのは化石のような存在なのだろう。この時もスポーツ用品店のお兄ちゃんに、もっと長い板が欲しいと駄々をこねてはみたものの、流行らないものは置いていないし、ないものはないのである。仕方なく僕の身長とほぼ同じくらいの長さの板で我慢することにした。

かつてのスキー全盛期に購入した一式は、ここ数年の間の買い替えによってその価格は3分の1以下と大幅に下落し、そして上級者向けから初級者向けの道具へと一新されたわけだ。当然のことながら、高い道具を使ったからといって、よい滑りができるとも限らないのも事実であるし、初心者が買うような道具でも、どんなに急な斜面であっても滑って滑れないことはないのである。道具に対するこだわりが少し薄れたと言うべきか、金を使う優先順位が繰り下がったのだろう。実際のところ、スキー初日は少しばかり慣れるのに時間がかかったが、しばらくするといつものペースで斜面を転げ落ちるように滑走していたのである。まだまだ技術は衰えていないもんね、と思いながらも、骨折だけは気をつけようと、少しばかりスピードを緩めるのであった。

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